30 / 57
30
しおりを挟む
スタッフの声に、ドキドキしながら、ふくろうの頭を撫でると、気持ちよさそうにする。
嬉しくなって、笑顔でロイさんの方を見れば、ロイさんも満面の笑みで此方を見ている。
「可愛いなぁ」
「えっ」
ロイさんの呟きに、別の意味で心臓が跳ねた。
きっとそれは、ふくろうに対してだよね。そう自分に言い聞かせ、次に待つ人が居たから、私はふくろうを堪能する事を終えた。
「はい、写真。可愛く笑ってるよ」
「えぇえ!?」
またしても言われた可愛いの言葉は、私に対してだったのか。
「ロイさんは触らなくても良いの?」
「俺はあっちが良いかな」
そう言って指さした方向に居たのは、モルモットだった。
「可愛い~!」
手のひらサイズのもふもふに、私はすぐさまそちらに移動した。
「ロイさん、もふもふした動物好きなの?」
「まぁね」
ロイさんは愛おしそうにモルモットを眺めていて、その顔に胸が高鳴る。私に、その視線を向けてくれればいいのに、なんて贅沢な思いを秘めながら。
「この後、遅めの昼食をどこかで取ろうか」
気が付けば、時間は十三時になろうかという所だった。
午前中に待ち合わせして、そのままアニマルカフェに行ったのだけれど、時間無制限だったからこそ、めいっぱい遊びまくっていたようだ。動物達の威力は凄い。緊張なんて、もうどこへいったのやら。
「賛成!」
「ハンバーガーでも行く?」
「私を女子と忘れていませんか? 初対面相手に大口開けろと?」
「冗談。でも、しぃの好みわかんないし、ファミレスとかでも良かったりするの?」
「私もロイさんの好み分からないので、それで!」
冗談を言い合える程度には少し慣れたようだ。
三十代の男女がファミレスという事に少し笑いそうにもなったけれど、ロイさんの好みがさっぱり分からない。ならば色々な種類があるファミレスでも良いし、ロイさんとなら、どこででも楽しいのだろうなと思える自分も居た。
少し歩いてファミレスに着くと、ロイさんは唐揚げ定食を頼み、私はサラダとハーフパスタを頼んだ。量も調節出来るし、大人だけれども良いチョイスだと思う。
食事中も会話が弾み、ドリンクも三杯目ともなれば、気が付くと二時間以上たっていた。
これから、どうしようか。そんな考えが頭に浮かぶ。
楽しいな、凄く楽しいな。もっと一緒に居たいな。
欲ばかりが膨らんでいく。
「まだ早いし、カラオケでも行く?」
「行く! ロイさんの歌声聞いてみたい!」
「期待には応えられる程の歌唱力はないよ~」
嬉しい申し出に、私は即座に肯定した。
嬉しくなって、笑顔でロイさんの方を見れば、ロイさんも満面の笑みで此方を見ている。
「可愛いなぁ」
「えっ」
ロイさんの呟きに、別の意味で心臓が跳ねた。
きっとそれは、ふくろうに対してだよね。そう自分に言い聞かせ、次に待つ人が居たから、私はふくろうを堪能する事を終えた。
「はい、写真。可愛く笑ってるよ」
「えぇえ!?」
またしても言われた可愛いの言葉は、私に対してだったのか。
「ロイさんは触らなくても良いの?」
「俺はあっちが良いかな」
そう言って指さした方向に居たのは、モルモットだった。
「可愛い~!」
手のひらサイズのもふもふに、私はすぐさまそちらに移動した。
「ロイさん、もふもふした動物好きなの?」
「まぁね」
ロイさんは愛おしそうにモルモットを眺めていて、その顔に胸が高鳴る。私に、その視線を向けてくれればいいのに、なんて贅沢な思いを秘めながら。
「この後、遅めの昼食をどこかで取ろうか」
気が付けば、時間は十三時になろうかという所だった。
午前中に待ち合わせして、そのままアニマルカフェに行ったのだけれど、時間無制限だったからこそ、めいっぱい遊びまくっていたようだ。動物達の威力は凄い。緊張なんて、もうどこへいったのやら。
「賛成!」
「ハンバーガーでも行く?」
「私を女子と忘れていませんか? 初対面相手に大口開けろと?」
「冗談。でも、しぃの好みわかんないし、ファミレスとかでも良かったりするの?」
「私もロイさんの好み分からないので、それで!」
冗談を言い合える程度には少し慣れたようだ。
三十代の男女がファミレスという事に少し笑いそうにもなったけれど、ロイさんの好みがさっぱり分からない。ならば色々な種類があるファミレスでも良いし、ロイさんとなら、どこででも楽しいのだろうなと思える自分も居た。
少し歩いてファミレスに着くと、ロイさんは唐揚げ定食を頼み、私はサラダとハーフパスタを頼んだ。量も調節出来るし、大人だけれども良いチョイスだと思う。
食事中も会話が弾み、ドリンクも三杯目ともなれば、気が付くと二時間以上たっていた。
これから、どうしようか。そんな考えが頭に浮かぶ。
楽しいな、凄く楽しいな。もっと一緒に居たいな。
欲ばかりが膨らんでいく。
「まだ早いし、カラオケでも行く?」
「行く! ロイさんの歌声聞いてみたい!」
「期待には応えられる程の歌唱力はないよ~」
嬉しい申し出に、私は即座に肯定した。
2
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

2月31日 ~少しずれている世界~
希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった
4年に一度やってくる2月29日の誕生日。
日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。
でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。
私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。
翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。



あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる