【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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 スタッフの声に、ドキドキしながら、ふくろうの頭を撫でると、気持ちよさそうにする。

 嬉しくなって、笑顔でロイさんの方を見れば、ロイさんも満面の笑みで此方を見ている。

「可愛いなぁ」
「えっ」

 ロイさんの呟きに、別の意味で心臓が跳ねた。
 きっとそれは、ふくろうに対してだよね。そう自分に言い聞かせ、次に待つ人が居たから、私はふくろうを堪能する事を終えた。

「はい、写真。可愛く笑ってるよ」
「えぇえ!?」

 またしても言われた可愛いの言葉は、私に対してだったのか。

「ロイさんは触らなくても良いの?」
「俺はあっちが良いかな」

 そう言って指さした方向に居たのは、モルモットだった。

「可愛い~!」

 手のひらサイズのもふもふに、私はすぐさまそちらに移動した。

「ロイさん、もふもふした動物好きなの?」
「まぁね」

 ロイさんは愛おしそうにモルモットを眺めていて、その顔に胸が高鳴る。私に、その視線を向けてくれればいいのに、なんて贅沢な思いを秘めながら。

「この後、遅めの昼食をどこかで取ろうか」

 気が付けば、時間は十三時になろうかという所だった。
 午前中に待ち合わせして、そのままアニマルカフェに行ったのだけれど、時間無制限だったからこそ、めいっぱい遊びまくっていたようだ。動物達の威力は凄い。緊張なんて、もうどこへいったのやら。

「賛成!」
「ハンバーガーでも行く?」
「私を女子と忘れていませんか? 初対面相手に大口開けろと?」
「冗談。でも、しぃの好みわかんないし、ファミレスとかでも良かったりするの?」
「私もロイさんの好み分からないので、それで!」

 冗談を言い合える程度には少し慣れたようだ。
 三十代の男女がファミレスという事に少し笑いそうにもなったけれど、ロイさんの好みがさっぱり分からない。ならば色々な種類があるファミレスでも良いし、ロイさんとなら、どこででも楽しいのだろうなと思える自分も居た。
 少し歩いてファミレスに着くと、ロイさんは唐揚げ定食を頼み、私はサラダとハーフパスタを頼んだ。量も調節出来るし、大人だけれども良いチョイスだと思う。
 食事中も会話が弾み、ドリンクも三杯目ともなれば、気が付くと二時間以上たっていた。
 これから、どうしようか。そんな考えが頭に浮かぶ。
 楽しいな、凄く楽しいな。もっと一緒に居たいな。
 欲ばかりが膨らんでいく。

「まだ早いし、カラオケでも行く?」
「行く! ロイさんの歌声聞いてみたい!」
「期待には応えられる程の歌唱力はないよ~」

 嬉しい申し出に、私は即座に肯定した。
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