29 / 57
29
しおりを挟む
せめて、嫌な所でも見つけれたら諦められるのにと、淡い期待を抱く。反面、嫌われたくないと自分の仕草に、指先まで気を配る。
なんて矛盾しているのだろう。
十代でもないのに、緊張と浮足立つ気持ちが抑えられない。
「こっちかな」
スマホの地図を見ながら、ロイさんが先導するのに、斜め後ろをついて歩く。
身長は180cmちょい位だろうか、158cmの私は少し見上げる程で、ジーッと背中を眺めていれば、後ろを気にするように少し歩けば振り返るロイさんに気が付いた。
そんな小さな優しさや気遣いに、心が躍りそうになるも、勘違いしてはいけないと自分に言い聞かす。
「そういえば、あのゲーム会社、別の新しいゲームをリリースするみたいだね」
「そうなの!? 次はどんなゲームなんだろう」
「なんか、同じようなMMOなんだけど、キャラメイク出来て何人も動かせるというより、一人のストーリーを進めていくみたいで」
ゲームの話で盛り上がり、初対面とは思えない程に会話が弾む。
まぁ、メッセージ上のやり取りと同じようなものだと思えば、それは盛り上がるものだけれど、今は顔を合わせているのだ。
ロイさんは、後ろを気にしながら歩いているのに、気が付けば半歩下がって隣に並ぶよう歩き始める。
ドキドキと心臓の音が自分で分かる程に跳ね上がり、その音が聞こえないか心配になる。
いい年齢の女が、こんな事で浮かれあがるなんて気持ち悪いとか思われないかなと、平静を装うようにする。けれど、周囲からは恋人同士に見えるかな、なんて考えれば、なかなか心臓が静まってくれない。
一人だけ内心パニック状態になりながら会話を続けていれば、あっと言う間にアニマルカフェへと着いた。
「うわぁ! 可愛い!」
ふくろうにハムスター、うさぎや小鳥。何より、ひよこ!
「凄い! 手に乗ってくる!」
手のひらに餌を乗せて、ひよこにあげれば、勢いよく何羽も手に乗ってくる。
ふわふわな感覚に、とても癒される。
「餌、追加で買ってこようか!」
「え、良いよ」
遠慮して答えたけれど、ロイさんは首を左右に振った。
「俺がもっとあげたい!」
言うなり、ロイさんは追加で餌を4つ程買ってきた。
スマホ片手に撮影しながら餌をあげて楽しんでいる様子に、可愛いなぁと思い、笑顔が零れる。
「ふくろう、腕に乗せられるみたいだよ」
「あ、乗せてみたい!」
「じゃあ、写真撮るね~」
「後で送ってね!」
分厚い手袋を嵌め、スタッフの人が言う通りにして待っていれば、ふくろうが私の手にのってくる。
「撫でても良いですよ」
「ホントですか!?」
なんて矛盾しているのだろう。
十代でもないのに、緊張と浮足立つ気持ちが抑えられない。
「こっちかな」
スマホの地図を見ながら、ロイさんが先導するのに、斜め後ろをついて歩く。
身長は180cmちょい位だろうか、158cmの私は少し見上げる程で、ジーッと背中を眺めていれば、後ろを気にするように少し歩けば振り返るロイさんに気が付いた。
そんな小さな優しさや気遣いに、心が躍りそうになるも、勘違いしてはいけないと自分に言い聞かす。
「そういえば、あのゲーム会社、別の新しいゲームをリリースするみたいだね」
「そうなの!? 次はどんなゲームなんだろう」
「なんか、同じようなMMOなんだけど、キャラメイク出来て何人も動かせるというより、一人のストーリーを進めていくみたいで」
ゲームの話で盛り上がり、初対面とは思えない程に会話が弾む。
まぁ、メッセージ上のやり取りと同じようなものだと思えば、それは盛り上がるものだけれど、今は顔を合わせているのだ。
ロイさんは、後ろを気にしながら歩いているのに、気が付けば半歩下がって隣に並ぶよう歩き始める。
ドキドキと心臓の音が自分で分かる程に跳ね上がり、その音が聞こえないか心配になる。
いい年齢の女が、こんな事で浮かれあがるなんて気持ち悪いとか思われないかなと、平静を装うようにする。けれど、周囲からは恋人同士に見えるかな、なんて考えれば、なかなか心臓が静まってくれない。
一人だけ内心パニック状態になりながら会話を続けていれば、あっと言う間にアニマルカフェへと着いた。
「うわぁ! 可愛い!」
ふくろうにハムスター、うさぎや小鳥。何より、ひよこ!
「凄い! 手に乗ってくる!」
手のひらに餌を乗せて、ひよこにあげれば、勢いよく何羽も手に乗ってくる。
ふわふわな感覚に、とても癒される。
「餌、追加で買ってこようか!」
「え、良いよ」
遠慮して答えたけれど、ロイさんは首を左右に振った。
「俺がもっとあげたい!」
言うなり、ロイさんは追加で餌を4つ程買ってきた。
スマホ片手に撮影しながら餌をあげて楽しんでいる様子に、可愛いなぁと思い、笑顔が零れる。
「ふくろう、腕に乗せられるみたいだよ」
「あ、乗せてみたい!」
「じゃあ、写真撮るね~」
「後で送ってね!」
分厚い手袋を嵌め、スタッフの人が言う通りにして待っていれば、ふくろうが私の手にのってくる。
「撫でても良いですよ」
「ホントですか!?」
3
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
誘惑の延長線上、君を囲う。
桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には
"恋"も"愛"も存在しない。
高校の同級生が上司となって
私の前に現れただけの話。
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
Иatural+ 企画開発部部長
日下部 郁弥(30)
×
転職したてのエリアマネージャー
佐藤 琴葉(30)
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の
貴方を見つけて…
高校時代の面影がない私は…
弱っていそうな貴方を誘惑した。
:
:
♡o。+..:*
:
「本当は大好きだった……」
───そんな気持ちを隠したままに
欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。
【誘惑の延長線上、君を囲う。】
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。

【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる