【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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 皆のロイさんへ対するイメージが悪くて笑いそうになるものの、それくらい気を付けないといけないという注意喚起だろう。

 りっぷ:メイクよーし! ダイエットよーし? 服持ってるー?
 しぃ:言わないで!
 あすやん:嫌われたなら、何も気にする必要ない。
 シン:おかん、辛辣(笑)
 しぃ:うぅうう……。

 こうやってふざけてくれる事がありがたい。
 心が少しだけ回復し、心が悲しみに支配されていく中でも、少しだけ笑みが零れそうになる。

『週末、そちらに行く用事があるので、アニマルカフェにでも行きませんか』
『何時?』

 覚悟を決めて送ったメッセージに対し、ロイさんは普通に返してきた。
 会う時間や場所も、すんなり決まった。
 私は緊張しながらも、どこか吹っ切れた、諦めに似た感情を持つ。

『夜には帰ります』
『わかったー』

 そんなやり取りもしていたのに、しっかりとムダ毛の処理をして勝負下着を着用してしまう自分に苛立ってしまうけれど、なんなら全て綺麗に整えたい。
 指先にもネイルをほどこして、髪の先までトリートメントをして。セミロングの髪はふわっとさせて、そのままおろしておく。
 綺麗な自分を見せるのだと、私は背筋を伸ばして待ち合わせの場所についた。

『つきました』

 同時に鳴る、スマホの着信音に胸が跳ね上がる。
 初めての通話だ。
 震える手で通話のボタンを押し、息を飲みながら電話に出る。

『もしもし?』
「あ、見つけた」

 スマホ越しと共に、直ぐ側から聞こえた声は、私がいつも聞いていた声。

「はじめまして……?」

 思わず首を傾げて、問いかけるように言ってしまった。こういう時、どう言うのが正解なのだろう。
 そんな私の様子に、ロイさんは笑顔で返してくれた。

「会えて良かった! 顔、見た事なかったし」
「送りあった事ないですもんね」

 むしろ見せられるわけがない。自分に自信なんて、あるわけでもなし。顔を見てから連絡がなくなったとかになったら、最悪すぎる。
 ロイさんの素顔には興味があったけれど、今こう見ていても、自分のフィルターがとてもかかっている事くらい、頭の片隅で理解している私がいる。
 塩顔と言って良い位、あっさりとしている。けれど、小さいタレ目なのも相まってか、とても優しそうな顔立ち。世間一般的に絶対的なイケメンと言えるわけでもないのだけれど、私は鼓動が早くなるのを止められない。
 好きだ。かっこいい。
 諦める為に来たのに、それでも溢れ出てしまう気持ち。

「アニマルカフェだよね?」
「うんっ」
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