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古くから居る神楽さんのコメントは、それなりに場を考えて発せられている事を思い出す。古くと言っても少し前だけど、その時は視聴者全員マナーも良かったのに、なんて感傷に浸りながら配信に目を向ける。
「あ~、ここ絶景ポイントかも!」
ひなたん:ロイたん似合う~!
きのぴー:敵はどう? クセあるの居る?
ひなたん:あ、それも大事だよね! ロイたん、どうかな~?
動画へのコメントが注意されたから、配信でロイさんに絡みまくるひなたんは、とてつもなく異様に見えた。
「とりあえず敵はそれなりにレベルが必要な位で、今の所クセのある奴は居ないかなぁ」
ひなたんの一人独壇場か。そうコメントしたくなる気持ちを抑えていれば、スマホから通知音が鳴った。
『えげつないな』
『しぃさん、大丈夫~?』
『見てたの?』
グループメッセージを読んで苦笑いが浮かんだ。二人にはそれだけ心配かけていたのだろう。
『勿論だよ! あのコメントからの配信だからね!』
『何あれ。ちゃんねる乗っ取り? 彼女気どり? どちらにしろ痛い。息子があんなの彼女として連れてきたらって想像したらゾッとした』
『草生えるw』
あすやんの言葉に笑い、グループメッセージでやり取りして、心に余裕を持ちながら配信を眺めた。
コメントすれば絡まれる可能性もある。私はひなたんと関わりたくないし、絡みたくもない。
「お、隠し通路がある」
ひなたん:ロイたん流石! よく見つけたね!
:メモしておこっと!
:ありがとうございます!
「ここがエリアボスか~」
ひなたん:ロイたん、頑張って!
「うわっ! 硬い!」
ひなたん:ロイたんならいける~! ファイト!
気が付けば他リスナーのコメントは減ってきて、さくらのコメントもなくなっていた。この配信は、もう二人だけの世界としか思えない。
だったら、勝手に二人だけでやってくれという思いが立ち込める。いちいち配信なんてせずに、二人だけでゲームしていれば良いのに。
嫉妬、嫌悪。嫌な自分がどんどん膨れ上がる。
『ありえないわ……』
あすやんの呆然としたその言葉を最後に、グループメッセージも止まった。
「ボスも倒したし、今日はここで終わるね」
疲れたような言葉を放つロイさんに、最後までひなたんはテンション高く絡み続けた。ロイさんの声色が変わっている事にすら気が付いていないのか。
【まいまい:コイン×500 ロイロイのペースで楽しんで】
最後の最後に飛んできた、上限いっぱいのコイン。
「まいまい、ありがとう」
要らないではなく、安心したような声で感謝の言葉を伝えたロイさんに驚いた。
「あ~、ここ絶景ポイントかも!」
ひなたん:ロイたん似合う~!
きのぴー:敵はどう? クセあるの居る?
ひなたん:あ、それも大事だよね! ロイたん、どうかな~?
動画へのコメントが注意されたから、配信でロイさんに絡みまくるひなたんは、とてつもなく異様に見えた。
「とりあえず敵はそれなりにレベルが必要な位で、今の所クセのある奴は居ないかなぁ」
ひなたんの一人独壇場か。そうコメントしたくなる気持ちを抑えていれば、スマホから通知音が鳴った。
『えげつないな』
『しぃさん、大丈夫~?』
『見てたの?』
グループメッセージを読んで苦笑いが浮かんだ。二人にはそれだけ心配かけていたのだろう。
『勿論だよ! あのコメントからの配信だからね!』
『何あれ。ちゃんねる乗っ取り? 彼女気どり? どちらにしろ痛い。息子があんなの彼女として連れてきたらって想像したらゾッとした』
『草生えるw』
あすやんの言葉に笑い、グループメッセージでやり取りして、心に余裕を持ちながら配信を眺めた。
コメントすれば絡まれる可能性もある。私はひなたんと関わりたくないし、絡みたくもない。
「お、隠し通路がある」
ひなたん:ロイたん流石! よく見つけたね!
:メモしておこっと!
:ありがとうございます!
「ここがエリアボスか~」
ひなたん:ロイたん、頑張って!
「うわっ! 硬い!」
ひなたん:ロイたんならいける~! ファイト!
気が付けば他リスナーのコメントは減ってきて、さくらのコメントもなくなっていた。この配信は、もう二人だけの世界としか思えない。
だったら、勝手に二人だけでやってくれという思いが立ち込める。いちいち配信なんてせずに、二人だけでゲームしていれば良いのに。
嫉妬、嫌悪。嫌な自分がどんどん膨れ上がる。
『ありえないわ……』
あすやんの呆然としたその言葉を最後に、グループメッセージも止まった。
「ボスも倒したし、今日はここで終わるね」
疲れたような言葉を放つロイさんに、最後までひなたんはテンション高く絡み続けた。ロイさんの声色が変わっている事にすら気が付いていないのか。
【まいまい:コイン×500 ロイロイのペースで楽しんで】
最後の最後に飛んできた、上限いっぱいのコイン。
「まいまい、ありがとう」
要らないではなく、安心したような声で感謝の言葉を伝えたロイさんに驚いた。
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