【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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『……ひなたんのコメント、危なくない? こっちも明日雨だけどさ……地域バレじゃない?』
『うわ。何これ。さすがに削除する』

 ネット意識の低さに、不快感が襲う。
 ロイさんに何かあったら、どうするのだろうか。

『見える人が調べたら、地域バレるよね~。てか、教えたの? 危ないよ?』

 既に私は調べてしまったけれど、私と同じような人が他にも沢山いるかもしれない。むしろ、居るだろう。

『あえて言った覚えはないけど……あ、サブ垢のSNSに載せてたかも!』
『サブ垢持ってるんだ?』

 知らなかったと言う事実が心を抉る。まぁ、SNSのチェックなんてしていないけれど、教えてもらえっていないというだけで心は傷ついてしまう。

『動かしてないけどね。同じハンドルネーム使ってるから検索でもかけたのかな』
『検索してみよう。てか危ないよ!?』

 そうして見つけた、ロイさんのサブ垢。そこにはしっかりと居住地が書かれていた。と言っても都道府県表記で止まっているのだけれど、私の隣県だという事が分かった。

『まぁ男なんで。地域だけバレたとしても平気。てかしぃ、もしかして家近い?』

 ドキンとした。
 ロイさんも明日の天気予報を見たのだろうか。

『ストーカー平気と?(笑)うん、隣県だね』
『いや、平気じゃなかったわ! ストーカー無理! 気を付ける! そしてしぃは会える距離にいると(笑)』

 また、ふざけてそんな事を言うのだろう。ロイさんは最寄り駅まで私に教えて来た。

『気を付けて~(笑)そこなら電車で二時間くらいじゃないかな?』

 自分の最寄り駅を教える事はしなかったけれど、素直に返事だけはした。近距離ではないが行けない距離ではない。

『会いたくなったら会おう(笑)』
『ハイハイ』

 茶化したようにメッセージを送っているけれど、思いがけずロイさんの最寄り駅を知れた事に嬉しさを覚えている中、そんな冗談を言われては、高ぶった心臓の音が頭に響いていくようだった。
 けれど、内心は疑心暗鬼でいっぱいだったりする。
 実は教えたとか? 本当にばれただけ? 仲いいの? もう会った? 気になっているの?
 放たれる事のない言葉が、次から次へと脳内を駆け巡る。そのほとんどが、悪い想像だ。
 現実には起こっていない、ただの予測で不安に襲われる。良し悪し関係なく、確かなものとする為に、何か情報はないのかとコメントを隅から隅まで読み始めてしまう。

<さくら:イチコメ!>

 配信だけでなく動画投稿までも、さくらは待機しているのだろうかと思える。
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