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18.終

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ふわふわふわふわ
暖かい……のは……私の血?
いや、違う。
これは液体じゃない。
思考が鮮明になっていき、私は私の最後の時を思い出した。
そして今初めて、自分が死んだ事に気がついたわけだけれど。
ふわり、ふわりと真綿に包まれたような暖かさ……
閉じた瞼の裏からも、暖かい光が分かる。

「……マリア?」

心地いい声が聞こえる。
ずっと側に居たいと。
隣で暮らしていたいと願った、安心できる人。
いや、人ではない……神様か。
そう思って口元が緩む。
まだ身体の感覚があるのが不思議な気がした。私はもう死んでいるというのに。

「マリア、目を開けて」

先ほどより声が鮮明に聞こえる。
目を開けようと瞼を開くも光に眩しさを覚えて、しっかり開ける事ができない。
あぁ……顔を見たいのに。

「……シヴァ?」

振り絞ったように声を出すと、答えるかのように手を握られた感覚がした。
あぁ……手の感覚まであるのか。
顔に陰りができ、何とか目を開けると、そこには悲しそうな心配そうな表情を浮かべたシヴァが間近に居た。

「っ!」

あまりの近さに息を呑むと、しっかり目を開けた私に喜びの表情を浮かべたシヴァが抱きついた。

「良かった!」

良かった良かったと繰り返すシヴァは泣いているようだった……が、その後、ギュっと少し力を込めて抱きしめられた後、ゴメンと呟かれた。



私はあの時、父の手によって人としての生を終えたという。
じゃあ何故今ここに存在しているのかと言うと、どうやら私は神の子として生まれ変わったらしい。

「シヴァが……お父様?」
「神にそういう認識はないんだけど……というか、そこなの?」

言いにくそうに、だけどしっかり説明してくれたシヴァから話を聞き終えた私は、開口一番そんな事を呟いた。
正直、複雑でしかないんだけれど、人間とは少し違って、シヴァが神の力を与えて人から神として生まれ変わったようなものだと言う。
そして生まれたばかりだから、子だと。

「ありがとう」

申し訳なさそうにしていたシヴァに私がそう言うと、シヴァは驚き顔をあげた。

「私……ずっとシヴァと一緒に居られるんでしょう?」

笑顔でそう問いかけると、シヴァも笑顔で頷いた。

「うん!ずっと一緒に居て……!」

淋しがり屋な神様を抱きしめ、心地いい腕の中で安心感に包まれる。
神となり人間からしてみれば存在しないかのような存在になったけれど……生きていた時よりマシだろう。
だってシヴァは……私はちゃんと見てくれる。

「幸せよ……シヴァ」

きっと、これからもずっと。
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