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「……あっ!」
「まさか返事をしてないとか……」
「連絡来てたのに見ていないとか……」
私の声に、東さんと紺野さんが呆れたように言う。
「一つの事に気を取らすぎてそうだから……」
溜息を吐きながら羽柴さんまでもが言う。
確かにそういう所はあるかもしれない、というかあるだろう。今まで「勉強」という一点だけに集中してきていたのだから、いくつかの同時進行は苦手だ。
これも社会に出た時、出来なくてはいけない事だろうから今のうちに何か自分らしい対策も考えなくてはいけないか。
いやいや……それよりも……。
「ど……どどどどど……どうしよう……」
「ともっち、どもりすぎー!」
私の焦りとは裏腹に、東さんはお腹をかかえて爆笑している。
「わ……笑いごとじゃないよー!」
あまりの事に思わず不満を口に出してしまう。
けれど、東さんはそれすら笑う。
「別に命の危険なわけじゃないしー。アンチのせいで何か言ってくるなら、それはともっちのせいじゃないし?」
東さんの言葉が、すんなりと私の心に入って落ち着く。
確かに……死ぬわけじゃない。
しかし礼儀を怠ってしまえば、それは私の非にしかならない!
どういう文面で送れば良いのか迷いながら、私は皆と話しつつ文章を作成していく。
「まさか曲提供を受けるという返事すら、まだしていなかったとは……」
「現状も伝えておいた方が良くない? 火種を嫌う人も居るし」
「自分に飛び火したくないってだけだから、あまりそこは気負わずに」
誰だって飛び火は嫌だろう。
折角のチャンスを掴めなくなるのは嫌だけれど……それで他人に迷惑をかけたくない。
私は正直に、曲の提供を受けたい事。そして今、アンチが湧いて誹謗中傷が行われている事を返事すれば、すぐに返事が返って来た。
「こ……怖っ!」
「貸して貸してー!」
自分でそのDMを開けない私に、東さんが手を出してくる。
大人しくスマホを渡すが、東さんの表情を見る勇気もない私は、自分の手で自分の目を覆ってしまう。
何て返ってきたのか。
……連さんまでもが誹謗中傷を真に受けて、酷い言葉を並べ立ててきたりしていないか。人間性を疑われていないか。
むしろ返事の仕方が良くなかったか。
今更ながらグルグルと思考が回って恐怖に陥る。
「おぉおお」
「……マジ?」
「誠実……なのかな」
……悪い事は書かれてなかった……?
手をどけて三人の顔を見れば、驚いているような表情だ。
「悪い事は書かれてないよ、大丈夫」
その言葉に、私も自分のスマホを覗く。
「まさか返事をしてないとか……」
「連絡来てたのに見ていないとか……」
私の声に、東さんと紺野さんが呆れたように言う。
「一つの事に気を取らすぎてそうだから……」
溜息を吐きながら羽柴さんまでもが言う。
確かにそういう所はあるかもしれない、というかあるだろう。今まで「勉強」という一点だけに集中してきていたのだから、いくつかの同時進行は苦手だ。
これも社会に出た時、出来なくてはいけない事だろうから今のうちに何か自分らしい対策も考えなくてはいけないか。
いやいや……それよりも……。
「ど……どどどどど……どうしよう……」
「ともっち、どもりすぎー!」
私の焦りとは裏腹に、東さんはお腹をかかえて爆笑している。
「わ……笑いごとじゃないよー!」
あまりの事に思わず不満を口に出してしまう。
けれど、東さんはそれすら笑う。
「別に命の危険なわけじゃないしー。アンチのせいで何か言ってくるなら、それはともっちのせいじゃないし?」
東さんの言葉が、すんなりと私の心に入って落ち着く。
確かに……死ぬわけじゃない。
しかし礼儀を怠ってしまえば、それは私の非にしかならない!
どういう文面で送れば良いのか迷いながら、私は皆と話しつつ文章を作成していく。
「まさか曲提供を受けるという返事すら、まだしていなかったとは……」
「現状も伝えておいた方が良くない? 火種を嫌う人も居るし」
「自分に飛び火したくないってだけだから、あまりそこは気負わずに」
誰だって飛び火は嫌だろう。
折角のチャンスを掴めなくなるのは嫌だけれど……それで他人に迷惑をかけたくない。
私は正直に、曲の提供を受けたい事。そして今、アンチが湧いて誹謗中傷が行われている事を返事すれば、すぐに返事が返って来た。
「こ……怖っ!」
「貸して貸してー!」
自分でそのDMを開けない私に、東さんが手を出してくる。
大人しくスマホを渡すが、東さんの表情を見る勇気もない私は、自分の手で自分の目を覆ってしまう。
何て返ってきたのか。
……連さんまでもが誹謗中傷を真に受けて、酷い言葉を並べ立ててきたりしていないか。人間性を疑われていないか。
むしろ返事の仕方が良くなかったか。
今更ながらグルグルと思考が回って恐怖に陥る。
「おぉおお」
「……マジ?」
「誠実……なのかな」
……悪い事は書かれてなかった……?
手をどけて三人の顔を見れば、驚いているような表情だ。
「悪い事は書かれてないよ、大丈夫」
その言葉に、私も自分のスマホを覗く。
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