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まるで、そこに私は居ないかのようだ。
これは勝手に話せという事なのか。それとも無視を貫くつもりか。
でも、声は確実に届くだろうと、私は自分の気持ちを吐き出す事にした。
黙っていれば……言わなければ、それはそれで出て行くだけで済むかもしれない。けれど……心にしこりが残る。
「……何であんな事を投稿したの?」
「……」
返事はない。
「いきなりアンチが湧いて出たんだけど、見てみれば明里さんのファンからで……遡ったら明里さんの投稿が原因だったんだけど」
「……」
明里さんは、そのまま夕食の準備を始め、私の声など聞こえていないようにしている。その姿に動揺等は一切見られない。
……会話すらするつもりはないのだろう。
私を居ないものとして扱っているのだ。
「……」
ただただ悲しい。
何も言ってもらえない事が。
何の反応ももらえない事が。
私にそんな価値などないのだと言われているようで……。
――嫉妬。
ふいに、羽柴さんの言葉が過った。
嫉妬から……私の存在をなかった事にしたいのだろう。
私だって……自分より優秀な人達が居なければと……自分より上の順位を取る人達が居なければと。何度願ったか分からない。
その存在がなければと酷い思いや願いに支配されていた事か。
それを追い越そうなんて思えるのは、まだ心に余裕がある証で……頑張って疲れ果ててきた時の心では、それを抑え込む術なんてなかった。
かと言って、明里さんのように人を傷つけ追い落とすような真似はしなかった。してはいけない事だと思う。
……それをした所で、自分は成長しないし、自分の心だって制御できない幼児のようなものだと。自分自身で認識してしまうからだ。
「……皆のおかげかな」
感情に振り回されて、こんな事を考える事すらなかった以前の私に比べたら、だいぶ自分も成長できたと思える。
色んな人に触れて、色んな考え方を知って……色んな世界を知ったから。
だから……。
「私が歌の提供される事が、そんなに気に入らない?」
明里さんのお皿を持つ手がピクリと反応し、一瞬止まる。
「ポッと出の私に抜かされたのが気に入らなくて、アンチを焚きつけた?」
確実に、これなのだ。
明里さんの行動全ての原因。
私に対する感情の全て。
「自分より下の人間が、そんなチャンスを掴むのが気に入らなくて、落とそうとした? でも、それに何の意味があるの? それで自分は何を得る事が出来るの?」
言葉が止まらない。
言いたい事を全てぶちまけるかのように、私は次々と言葉を投げかける。
「私を落としたとして、明里さんに曲が提供されるの?」
これは勝手に話せという事なのか。それとも無視を貫くつもりか。
でも、声は確実に届くだろうと、私は自分の気持ちを吐き出す事にした。
黙っていれば……言わなければ、それはそれで出て行くだけで済むかもしれない。けれど……心にしこりが残る。
「……何であんな事を投稿したの?」
「……」
返事はない。
「いきなりアンチが湧いて出たんだけど、見てみれば明里さんのファンからで……遡ったら明里さんの投稿が原因だったんだけど」
「……」
明里さんは、そのまま夕食の準備を始め、私の声など聞こえていないようにしている。その姿に動揺等は一切見られない。
……会話すらするつもりはないのだろう。
私を居ないものとして扱っているのだ。
「……」
ただただ悲しい。
何も言ってもらえない事が。
何の反応ももらえない事が。
私にそんな価値などないのだと言われているようで……。
――嫉妬。
ふいに、羽柴さんの言葉が過った。
嫉妬から……私の存在をなかった事にしたいのだろう。
私だって……自分より優秀な人達が居なければと……自分より上の順位を取る人達が居なければと。何度願ったか分からない。
その存在がなければと酷い思いや願いに支配されていた事か。
それを追い越そうなんて思えるのは、まだ心に余裕がある証で……頑張って疲れ果ててきた時の心では、それを抑え込む術なんてなかった。
かと言って、明里さんのように人を傷つけ追い落とすような真似はしなかった。してはいけない事だと思う。
……それをした所で、自分は成長しないし、自分の心だって制御できない幼児のようなものだと。自分自身で認識してしまうからだ。
「……皆のおかげかな」
感情に振り回されて、こんな事を考える事すらなかった以前の私に比べたら、だいぶ自分も成長できたと思える。
色んな人に触れて、色んな考え方を知って……色んな世界を知ったから。
だから……。
「私が歌の提供される事が、そんなに気に入らない?」
明里さんのお皿を持つ手がピクリと反応し、一瞬止まる。
「ポッと出の私に抜かされたのが気に入らなくて、アンチを焚きつけた?」
確実に、これなのだ。
明里さんの行動全ての原因。
私に対する感情の全て。
「自分より下の人間が、そんなチャンスを掴むのが気に入らなくて、落とそうとした? でも、それに何の意味があるの? それで自分は何を得る事が出来るの?」
言葉が止まらない。
言いたい事を全てぶちまけるかのように、私は次々と言葉を投げかける。
「私を落としたとして、明里さんに曲が提供されるの?」
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