【完結】私が奏でる不協和音

かずきりり

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 そういえば明里さんも何か言っていたような気がするけれど、私の場合は明里さんと歌う曲を相談した上で決め、動画配信サイトに流していた。
 MVも明里さんが用意してくれたりしていたわけで……。

「著作権って知っておいた方が良いよ?」
「おぉ! 絵里がプロっぽい!」
「似たようなものでしょ。知らなきゃ仕事に支障きたすでしょ」

 音源やMVは作った人が使用禁止にしているものもあると言う。
 その反面、素材を配布して是非オリジナルを作ってくれと言わんばかりのものもあるらしい。色々と奥が深い。

「まぁ宣伝みたいなものだからね」
「難しい世界だよねー!」
「ネットでの広告宣伝は重要だよ」

 とても同じ年に思えない。
 というか、そんな戦略は考えられない。どう宣伝して良いのかなんて分からないからだ。
 曲を作った人は色んな歌い手さんに歌ってもらう事によって曲が広められるし、MVだってそうだ。使用される事により、イラストを描いた人や動画作成を手掛けた人の名前が広められる。

「趣味の輪が広がるみたい……」

 思わず呟いた言葉に、三人はポカンとした後にわっと話し出した。

「確かに! 皆で作るって良いじゃん!」
「一人では難しくても協力者がいれば出来ると」
「仲間って大事だもんね」

 凄い。本当に凄い。
 今までずっと一人で机に向かって勉強してきた。
 仲間とか一緒に何かを作り出すなんて微塵もなくて……あ、でも……そうか。得意分野がある子に、その分野を教えてもらって、自分も得意分野を教え返すみたいなものかな。
 ……流石にテストを全員で受けてとかは出来ないし。
 それに……私には苦手教科を作る事なんて許されなかったな。

 ――小学生の夏休みが懐かしい。

 皆で宿題を持ち寄って、友達同士で教え合いながら勉強をしていたっけ。
 かと言って、絵や自由研究、読書感想文といったものは自分の力で仕上げなければならなかったけれど。

「……実は、アイコンとか悩んでいて……」

 羽柴さんがイラストを描いていて、そういうのに詳しいのならと相談をする。
 実際、アイコンもなければページの上部にある……ヘッダー? も空白だ。
 自分の似顔絵なのか、代用イラストなのか分からないけれど、人や動物の絵を自分のように使っている人も多い。
 ……私はただの真っ黒アイコンにしてしまっているけれど。

「えっ!? 可愛いのにしない!?」
「結構暗めの曲が多いから、クールでシンプルな感じの方が合いそうじゃない?」

 食いつきが激しい。
 私的に病んでいる曲しか歌っていないから紺野さんの意見が近いと思うのだけれど。
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