【完結】私が奏でる不協和音

かずきりり

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 言い訳にならないだろうか。でも事実を述べなければリクエストもしづらいのではないだろうか。相手に不愉快な思いをさせないだろうか……。
 頭に色々と過っては、呼吸が荒くなりそうだ。
 やらなければ良かった。そんな事まで思い始めていたのだけれど……入室しただけの人がフォローするようなコメントをくれた。

『歌っているのは暗い曲が多いですよね、とあるPさんのとか』
『あ、ならその人が3年前くらいに出した曲とか……』
『その人が作っているシリーズ曲とかはわかりますか?』

「あ、わ……わかります!」

 私が分かる曲をリクエストしてもらえ、私はその歌を歌う。
 ……私一人だけなら、どうしようもなくなっていた。だけれど、誰かがフォローをしてくれる、その有難さ。
 勉強なんて一人での戦いだ。先生という助けはあるものの、一人の力で何とかしなくてはいけない。けれど……こういう場では違うのだ。
 自分一人の力なんて、微々たるものなのではないだろうか。
 
 やるせなさ、不安、恐怖、寂しさ、迷い……そして、投げやり。

 そんな思いを詰め込んで声にのせて歌を紡いでいれば、視線の隅にまた誰かが入って来たという通知が目に入る。
 けれど……今はただ真剣に歌うだけだ。

「ありがとうございます」

 歌い終わってお礼を言えば、アイテムが投げられる。確かいくつかまとまったら換金できるとは明里さんから聞いたし、このアイテム自体も課金しないと得られないものだ。

「あ……あ……! アイテムありがとうございます!」

 焦ってお礼を言う。
 わざわざ課金したアイテムを投げてくれるなんて……申し訳ないやら、嬉しいやら……気持ちがもはや迷子だ。
 たかが数十円、されど数十円。だけれど、私にとっては値段より気持ちが何よりも尊くて、金額には代えられないものを貰った感じだ。

 ――けれど、自立するといった意味では、まだまだ足りないのも理解できる。

 明里さんの時とは全く違う。
 ただ無名な私が一人でやるのでは、そんな上手くいかないのだ。
 胸にモヤモヤした何かが溜まっていく。それは嫉妬や妬みといった感情である事は分かるけれど……。

「一人で何話して良いのか分からなくて……歌も知っているのは少ないですし。色々とフォローありがとうございます」

 感謝をしよう。
 今は楽しもう。
 まずは、配信を全力でしてみよう。

『フォローなんて当たり前~!』
『次はこの曲とか知ってますか?』
『独り言を呟いているかのような空間。わかる』

 温かいメッセージ。
 特に荒らされる事もなく、私は三十分程の一人初配信を楽しみながら何とかやり遂げた。
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