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 ――親にお金を出してもらっているのだから。

 勝手に出してるだけだ、という気持ちもあるけれど、お金を稼ぐのは大変だと思えば無碍にするのも心苦しい。
 学校に行って、塾に行って、合間にバイトや明里さんと会う。
 あまりバイトにも入れないから、お金が溜まるのはいつになる事やら……先行きが不透明すぎて溜息が出る。だけれど確実に進んでいる実感はする。

「ちょっと~! 登録者数結構いってない?」
「やっと100人だよ……?」
「友達ゼロでやってるんだよ? 全く知らない100人ってのが、また良いんじゃない!」

 アプリでも動画配信サイトの紹介をして、明里さんに言われてSNSも始めてみた。と言っても、呟くような事もないから、あげた時の報告くらいにしか動かしていない。そっちはフォロワーが300人位ついてくれているし、アプリでも500人くらいついてくれているんだけど……それが多いのか少ないのかは私には分からない。

「よし! 定期的に歌ってみたをアップして、配信もやってみようよ!」
「明里さんは、どれくらいの頻度でやってるの?」
「歌は二週間に一度、配信は出来るだけ毎日……かなぁ」
「すごいっ!」

 録音からMixまで自分で行っているのに……二週間!? しかも私のMix作業までしてくれているんだよね!?
 更に配信を毎日してるって……バイトに歌、そして配信って……明里さん凄すぎる。

「まぁ……仕事にしたいからね! というかお仕事だからね!」

 グッズも作って売ってるんだよ~と、明里さんは見せてくれた。
 明里さんにはそれなりにファンもついているし、収入もあるという事だろう。
 羨ましい。私も頑張りたい。明里さんみたいになりたい。
 もっと歌って、配信もやってみて……明里さんもアプリで練習のように歌ったりしているし、私もやってみようか。
 先を考えてドキドキする。わくわくする。
 未来に対して不安しかなかったのに、今は先の楽しみを見据えて今を楽しもうと思える。

「そういえば、智ちゃんの好きなPさん、新しい歌出してたよ~」
「えっ!? 本当!?」
「ホントホント。あと、昨日出たこの曲も智ちゃん好みな気がする」

 動画配信サイトで、その曲を聞けば見事に私の好み通りだった。
 暗くて、病んでいて……そして耳に残る不協和音。
 あれだけ新しい曲があげられていく中で、明里さんはしっかりとリサーチもしているという事だ。
 ……教えられているだけの私なんかとは違う。
 私も……自分から調べて動いていこう。
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