11 / 57
11
しおりを挟む
スマホでの録音方法を教えてもらって、お互いコラボして歌う曲を決めた数日後。
私は時間を見つけて、母の居ない合間や塾の帰りに住宅街から離れた公園などで歌い、納得したものを明里さんに送れば、Mixしたものとして返って来た。
「全然違う……」
Mix作業というのは、これほどまでに違うのかと驚いた。
自分の声が強く、通る。更に曲に合わせてエフェクトまで変えてあるのだ。
しかし、これは所詮スマホで録音されたもの。
明里さんの歌ってみた配信の声は更に違って、歌声がもっと伸びているというか綺麗なのだ。
「マイク……か」
呼吸のノイズ等が入らないようにとポップカードを付けていると言っていた。
元々の歌声も大事だけれど、歌声に化粧を施すように、自分の声をよく聞かせる。姿勢やしゃくり、ビブラードといったものだけでは、曲と歌声のバランスなんて取れないのか。
奥が深い。
こんな風に自分の歌声を飾ってみたい。
心の奥から沸き起こる欲求。私はマイクやパソコン、オーディオインターフェースといったものを検索してみたのだけれど……。
「高っ……」
あまりの金額に頭が痛くなる。
一式揃えるのも大変だし、そこから自立を考えれば……なかなかに痛手だ。
そういえば自分でMixするのであればDAWといったソフトも必要と言っていたし、明里さんも何か色々と購入していると言っていた事を思い出した。
アップデート、プラグイン……初めて触れる横文字ばかりで、きちんとした理解まで追い付いていないけれど、継続するにはお金が必要だし大変な作業だという事は分かった。
――凄い。
明里さんだけでなく、自らMixして配信している人も。
それを全て乗り越えてきているのだ。
「あ、委託とかも言っていたっけ……いくらなんだろう」
私は明里さんに頼んでいるけれど、そうやって外部に頼む歌い手も居ると言っていた。
バイトもしていない友達からお金を取るわけにはいかないし、楽しんでやっているからと断られたけれど、相場はどれくらいなのだろうと調べる。
値段の差はあるものの、ある一定の値段が多いと分かった。けれど……今はそれを支払う事も難しい。
「まずはパソコンからかなぁ……お金……」
録音環境がある事に羨ましさを感じながら、私は動画配信サイトへアップする為に登録をして、言われた方法でMVを用意し、不安な気持ちがあるものの自分の歌をあげた。
「……」
ちょっと怖いという気持ちもあり、通知をオフにした私は、そのままバイト探しへと勤しんだのだ。
私は時間を見つけて、母の居ない合間や塾の帰りに住宅街から離れた公園などで歌い、納得したものを明里さんに送れば、Mixしたものとして返って来た。
「全然違う……」
Mix作業というのは、これほどまでに違うのかと驚いた。
自分の声が強く、通る。更に曲に合わせてエフェクトまで変えてあるのだ。
しかし、これは所詮スマホで録音されたもの。
明里さんの歌ってみた配信の声は更に違って、歌声がもっと伸びているというか綺麗なのだ。
「マイク……か」
呼吸のノイズ等が入らないようにとポップカードを付けていると言っていた。
元々の歌声も大事だけれど、歌声に化粧を施すように、自分の声をよく聞かせる。姿勢やしゃくり、ビブラードといったものだけでは、曲と歌声のバランスなんて取れないのか。
奥が深い。
こんな風に自分の歌声を飾ってみたい。
心の奥から沸き起こる欲求。私はマイクやパソコン、オーディオインターフェースといったものを検索してみたのだけれど……。
「高っ……」
あまりの金額に頭が痛くなる。
一式揃えるのも大変だし、そこから自立を考えれば……なかなかに痛手だ。
そういえば自分でMixするのであればDAWといったソフトも必要と言っていたし、明里さんも何か色々と購入していると言っていた事を思い出した。
アップデート、プラグイン……初めて触れる横文字ばかりで、きちんとした理解まで追い付いていないけれど、継続するにはお金が必要だし大変な作業だという事は分かった。
――凄い。
明里さんだけでなく、自らMixして配信している人も。
それを全て乗り越えてきているのだ。
「あ、委託とかも言っていたっけ……いくらなんだろう」
私は明里さんに頼んでいるけれど、そうやって外部に頼む歌い手も居ると言っていた。
バイトもしていない友達からお金を取るわけにはいかないし、楽しんでやっているからと断られたけれど、相場はどれくらいなのだろうと調べる。
値段の差はあるものの、ある一定の値段が多いと分かった。けれど……今はそれを支払う事も難しい。
「まずはパソコンからかなぁ……お金……」
録音環境がある事に羨ましさを感じながら、私は動画配信サイトへアップする為に登録をして、言われた方法でMVを用意し、不安な気持ちがあるものの自分の歌をあげた。
「……」
ちょっと怖いという気持ちもあり、通知をオフにした私は、そのままバイト探しへと勤しんだのだ。
21
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。

王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる