【完結】悪役令息の義姉となりました

かずきりり

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「自分の命と引き換えに、国を滅ぼして! それがルイスの望みなの!?」
「嫌よ! 貴方は私の大切な息子なの!」

 私が叫ぶと、お母様も叫んだ。
 目に涙を浮かべて、必死に。

「ルイス! 戻ってきてくれ! 大事な息子が死ぬなんて耐えられない!」

 お父様も。
 せめて声が届けばと願いを込めて、必死に叫ぶ。

「頼む……もっと父親らしい事をさせてくれ! 大事な……大事なリリアックとの子なんだ! リリアックの代わりに、お前の成長を見させてくれ!!」

 あぁ、こんなにも……こんなにもルイスは愛されている。
 無関心な義父は居ない。無視をしてくる義母も、虐めてくる義姉も居ない。
 あるのは、皆が支え合い笑い合う家族。そして実父からの無償の愛だ。
 私達の思いが通じたのか、ピクリとルイスの指が動いたように見えた。

 ――お願い、届いて。
 ――正気に戻って。

 誰からも愛されず、歪んだ愛を抱えていたルイスとは違う。
 貴方を待っている人が居る。
 貴方を望んでいる人が居る。
 貴方を大切に思っている人が居る。
 貴方は愛されている。
 
「ちゃんと知って! 貴方はこれだけ愛されて望まれている事を!」

 知らないからの自暴自棄なんて言わせない。
 どうせ自分はなんてネガティブな言葉なんて吐かせない。思わせない。

「ルイスは大切な弟で! 大事な家族で……!」

 一人になんてさせない。させてやらない。

「唯一無二の婚約者なんだから! 死ぬって言うなら私も連れて行け! 嫌って言っても付いていってやる!! 死後までも!!」

 私の叫びに驚いた表情を見せたのは王弟殿下だ。
 両親は今更と言いたげに少し呆れている。
 推しが居るゲームにまで転生した私だ。死後も付いて行く事が出来る筈だ!
 少しだけ暴風が和らぎ、ルイスの首が少しだけ上向いたような気がする。
 届いていると思い、私は渾身の思いで叫ぶ。

「好きなの!!」

 ただ、届けと。それだけを願って。必死に暴風の荒れ狂う中で叫んでいたから気が付かなかった。

「セフィーリオ公爵令嬢!」

 焦って叫ぶ王弟殿下の声が。
 必至に私の側に近づいてきていた両親にも。

「ルイスを愛してるの!! 置いて行かないで!」

 推しに向かって、直接愛していると言える。
 画面の向こう側ではなく、きちんと生身で。自分の声で、伝える事が出来ている幸せ。

「ミア!!」

 いきなり両親に抱きしめられ、驚き上を向いた時には遅かった。
 両親の肩ごしに見えたのは、色んな物が吹き上げられて飛ばされている程の暴風と……ひび割れた校舎。
 そして……その校舎が崩れ落ちてくる瓦礫の山が、視界に迫ってきた。
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