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「一体なんだ!?」
「魔力暴走かと思われます!」

 ピタリと全員が動きを止めた。
 すでに霧のようなものは、形づくり始めている。

「まさか……」

 魔力暴走など、実際見た者は居ないだろう。
 私だって、ゲームのスチルで見ていなければ分からなかった。
 意識が漂う中、いくつかの影が天井らしき場所から現れたかと思えば、私の身体は引っ張られ、同時に何かが壊れる音が聞こえたかと思ったが、身体に走る激痛により私は気を失った。





「ミア! ミア!!」
「ミアは!? ルイスは!?」

 両親の泣き叫ぶ声が耳に届き、私はそっと目を開ける。

「あぁ! ミア!」
「……ここは……?」

 真っ白い部屋。
 私の部屋ではない事は、すぐに理解したけれど、だからと言って此処は何処なのだと言われれば分からない。
 頭に靄がかかっているようだ。

「ここは病院だ!」
「ミア! あぁ良かった!!」
「病院……?」

 現世では、お世話になった事がないけれど、白いイメージは同じなのだろうか。
 そして私は何故こんなところに……?

「痛っ!」
「あぁ、傷が開いてしまうわ!」

 上半身を起こそうとして、肩に激痛が走る。
 焦ったお母様は私の身体を支えた後、ゆっくりとまたベッドへ横になるよう誘導し、また私は横になった。
 肩?
 傷が開く?
 一体、何があったのかと思い、記憶の糸を手繰りよせた所で、私の意識は完全に覚醒した。

「ルイス!! 痛っ!」
「ミア!」
「落ち着いて!」

 ルイス! ルイス!
 全て思い出した私はベッドから起き上がろうと、素早く身体を動かしたものの、またしても痛みに邪魔され、お父様とお母様の手によって阻まれる。

「嫌! 離して!」

 ルイスが! ルイスを止めないと!
 肩に走る激痛より、心が引き裂かれるような痛みの方が私には辛い。
 お父様とお母様の手を振り払い、私は暴れる。

 ――パァンッ!

 頬に走った鋭い痛み。
 何が起こったのかと、私は自分の頬に手を当てて、呆然と両親を見れば、お母様が涙ながらに手をあげていた。
 ……叩かれた……? お母様が、私を叩いた……?
 そんな事、今までなかった。
 だからこそ、冷静になれたとも言えるのかもしれない。
 両親の顔を見れば、二人とも涙ぐんでおり、身体も震えている。

「……ルイスが魔力暴走を起こしたのは知っているわね……?」

 お母様の言葉に、私は小さく頷いた。
 だって、目の前で見たのだ。霧のようなオーラが、完全に形づくるのを。

「ルイスは……完全に魔力暴走を起こしてしまったのですか……?」

 起こした、という過去形を受け入れたくない私は、両親に問いかけた。
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