【完結】悪役令息の義姉となりました

かずきりり

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 こう……鳳凰みたいな鳥だったらかっこいいなぁ。
 神で出来た、燃えるような鳥!

「……義姉上? 魔力の流れが……」

 ルイスが引きつったような声を出した気がするけれど、私は今、魔力を練り上げるのに必死だ。

「義姉上! それは……」
「出でよ!」

 ルイスの声を無視して、私はイメージを最大限に発揮するよう声を上げた……のだが。

 ――ドッカーン!!

「義姉上!!」

 爆発音とルイスの叫び声。
 煙が立ち上がり、ガラガラと瓦礫が落ちてくる音まで聞こえてくる。
 全てがスローモーションのようで、でもそれは一瞬で。
 ドドドドッと言う轟音と共に、そこで私の意識は途切れた。






 いつもの匂い。
 いつもの心地よさ。
 だけれど、どこか消毒液のような、鼻に着く匂い。
 そっと瞳を開ければ、よく知っている天井が目につく。

「お嬢様!」

 コランの声が響き、そちらに視線を向ければ、目に涙を浮かべていた。

「旦那様! 奥様!」

 かと思いきや、いきなりお父様とお母様を叫んで呼びながら、部屋を出て行った。
 ……あれ?
 窓からは明るい光が差し込んでおり、今日は休日だったっけ? と思いながら上体を起こそうとする。

「いたっ!」

 身体の節々に痛みが走り、自分の身体を支えるのも精一杯だ。
 私は一体、何をしたのだっけ? と首を傾げながら、何とか上体を起こしきった所に、ドアがバタンと大きな音を立てて開かれた。

「ミア! 目覚めたか!」
「あぁ! 良かった!」

 瞳を潤ませたお父様に、涙を流しているお母様が、私の側に駆け寄ってきた。

「えっと……学院は……」
「何を言っているの!?」
「ミア、何が起きたのか覚えていないのか?」

 言われて、ハッと気が付く。
 そういえば、私とルイスは拉致監禁されていたのだ。
 そして、私の魔術オンチのお陰で、建物が崩壊したような……?
 って、それどころじゃない!

「ルイス! ルイスは!?」

 ハッキリと思い出してしまえば、私はルイスの安否が気になった。
 だってルイスは魔術封じを使われていたのだ。あんな状態のルイスならば、自分の身を護る事さえ出来なかっただろう。

「落ち着いて、ミア」
「とりあえず冷静になりなさい」
「ルイスはどうしているの!?」

 私の事なんて、どうでも良い。
 ルイスはどうなったのか。
 お父様とお母様の方へ身体を寄せようとして、またも身体に痛みが走り、私はそのままベッドへ肘をつく。

「お嬢様! ご自身の身体を労わって下さい」

 コランも悲痛な声を上げるけれど、私の場合は自業自得すぎる。
 絶対に守ると、傷一つつけないと言ったのに……。
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