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「……ルイス……?」

 思わず疑問形になるけれど、正気に戻ってくれたのかと嬉しさが溢れる。

「……すみません」
「良かったぁ~……」

 悲しそうな顔をしているルイスに、安堵の息が漏れた。
 どうやらルイスは自分が魔力暴走を起こしていた事が分かるのか、本当に落ち込んでいるようで、眉は下がっているが唇は噛みしめている。
 ルイスもルイスで、色んな感情と葛藤しているのだろう。

「逆に義姉上を危ない目にあわせるところでした……」

 そりゃ魔力暴走が起こればね。と言いたい所だったのだけれど、私の歯にルイスの髪の毛が挟まっている事に気が付いて、口を閉じた。
 ……どうしようこれ、保管したい。
 うは! ルイスの銀髪ゲットだぜ~!
 じゃなくて! 保管する方法もない……どうして私の手は縛られているのでしょうか!?

「捕まってから、どれくらい経ったのでしょうか……」

 とりあえず食べておくかと、私はルイスの話を聞きながら、何もないかのように口を動かした。
 深刻そうなルイスには悪いけれど、私の血となり肉になれ。
 食べたもので身体は作られていくから、食べる物には気を配れと言われていたな。なんて前世の事を思っていたのだけれど、ルイスが悲しそうな顔をしている。

「私がなんとかする!」

 推しを……好きな人を悲しませるわけにはいかないと、考える事もなく声高らかに宣言をすれば、ルイスは驚き目を見開いた。

「……義姉上……が? どうやって……?」
「え……っと? ……魔術で……?」
「……」
「……」

 ルイスが目と口を開いたまま、時が止まったかのように静止した。
 うん、分かってるよ。自分がどれだけ魔術オンチかなんて分かってるよ!

「でも、ほら! 私には魔術封じがないし、一か八かというか……」
「……それ、義姉上は怪我なく大丈夫なので……?」
「ルイスには傷一つつけません!」

 私の魔力ならば、私が無意識にでもルイスに傷をつける筈はない!
 自信満々に言ったのだけれど、ルイスは眉間に皺を寄せ、いまいち信用出来ないと言った表情だ。
 うん、それは分かるけども。
 成功した事なんて一度もないからね。

「そうじゃなくて、義姉上に傷が……」
「他に方法がないのだから仕方ないでしょう!」

 ルイスが何か言ったけれど、今度こそ魔術を成功させてみせるという気持ちしかない。
 私は真剣に魔力を練り上げた、イメージをした。
 イメージをすれば、きっと上手くいくはず! だって、小説や漫画では、魔法を使うなら想像力だってよく書いてあるし!
 狼煙も良いけれど、ここはカッコよく式神のような伝書鳩を作り出したい!
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