【完結】悪役令息の義姉となりました

かずきりり

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「ル……ルイス?」

 中庭をどんどん進むルイス。その先にあるのはガゼボだ。
 そんな所で昼食を取る気は私にはない。
 だって目立つじゃない!

「ルイスってば!」

 そうこうしていればガゼボが視界に入り、そこにはヒロインと攻略対象者達が居た。
 ルイス一人ならば良いけれど、私が行くのは何か違う気がする!
 そう思って立ち止まるよう踏ん張ってみても、ルイスの力には敵わなくて。焦った声を上げても、それを無視するよう足を進められる。

「あ……」

 そうこうしている内に、ヒロインはこちらの存在に気が付き、私を睨みつけたかと思えば、悲しそうな顔をして王太子殿下にしがみついた。

「怖いです! あの方、私に意地悪ばかりするのですよ~」

 うん、したことないけどね。それ、悪役令嬢の役目だし。
 私は、ただのモブですよー!?
 そんな事を叫んでは、頭のおかしい奴と周囲からも認定されてしまうので口には出さないけれど。

「何だと?」

 ヒロインの言葉に、王太子殿下は険しい顔をしてこちらを向く。それに倣ったかのように、他の攻略対象者達からの視線も刺さる。
 ルイスは、その視線をものともせず、私を前に押し出すようガゼボの前で立ち止まった。
 何故!? どうして!?

「身分を笠に着て、私に対して高圧的な物いいや嫌味を……ほら、今も睨んでいます~!」

 睨んでないから!
 あまりの言い分に、呆気に取られて言葉として出す事は出来なかった。
 まぁ、王太子殿下との会話に対して、いきなり割って入るのは無礼とされるから良いのだけれど。
 延々と述べられる私の悪口。更に険しい顔になっていく攻略対象者達。

 ――よくもまぁ、そんなデタラメを。

 ある意味で感心出来るのだけれど、私には心当たりがない事ばかり。
 むしろ私がやられていた事も入っているのだけれど?

「ねぇ……」
「あれ……」
「あ……」

 ガゼボの様子に気が付いた生徒達が、こちらの様子を遠巻きに見ている。
 ヒロイン一人の時と違って、ある意味で攻略対象達もどう出てくるのか興味津々と言ったところだろう。……男が居れば、無茶な事などしてこなかったという実績もあるし。

「セフィーリオ公爵家の落ちこぼれ令嬢か」

 王太子殿下による言葉のナイフが私の心を抉る。
 そりゃ魔術公爵家の魔術オンチなんて、落ちこぼれ以外の何者でもないですけどね!? こうやって面と向かってハッキリと言われたのは初めてですよ!
 周囲の視線が一気に同情となり、私に集まったのが分かった。
 え。もう逃げたい……。

「魔術がロクに使えない上、性悪とは……救いようがないな」
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