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「あんた! 本当に一体なんなのよ!? 邪魔しないでくれる!?」
ヒロインらしからぬというか、ヒロインと程遠い姿に呆けていれば、怒涛の如く言葉が浴びせられる。
しかも……意味が分からない。
マリー・クレトン子爵令嬢だ! という声が聞こえたかと思えば、周囲に居た人達は逃げるように去っていき、この場に居るのは私達二人だけとなった。
「ルイスとの好感度が一切あがらないし! そもそも何でアンタがルイスに守られてるわけ!? どれだけ嫌がらせしたって、図々しくルイスの隣に居るし!」
え? ルイスルートじゃないの? 今までの全部違うの?
ちょっと! ルイスルート見たいんですけど!?
じゃあ今の現状は何だというのだ。
前世に戻れる術なんてないのだから、きっちり見せて欲しかったのに!
「ほんっと、邪魔! あんたなんて植木鉢を落とした時に死ねば良かったのに。あ、ペンを壊した時だけは顔色変えてたわね。ざまぁ~!」
植木鉢……? てか、今ペンを壊したって……。
私の脳裏に過ったのは、推し活に使うボイスレコーダーだ。それ以外にない。
顔色を変えたというか、壊されてショックだったのは、それだけなのだ。
「……何よ、その目」
渾身の恨みが目に宿ったのだろう。
私は無意識のうちにヒロインを睨みつけていたようで、ヒロインも負けじとこちらを睨み返してくるけれど、そこには不満の色が浮かび上がっている。
むしろ不満は私の方だ! 言いがかりもいい加減にして欲しい。
というか、しっかりとルイスルートというものを教えて欲しかったのに!
「あの……」
「ほんっと、むかつく!」
言い返そうと口を開いた瞬間、身体に強い衝撃が走って傾いていくのが、スローモーションのように感じた。
「覚えてなさいよ! 消えてもらうから!」
押された。と認識する間に、ヒロインは叫んで立ち去っていく。
何とか体制を立て直し、倒れないようにと足を移動させれば、そこは階段で……。
「!?」
足が空を切り、段差を踏み外せば、私は何かを掴もうと手を伸ばすけれど、ただ空を切るだけ……。
「ミア!!」
名前を呼ばれると同時に、焦った表情のルイスが視界に映り、瞬時に強い力で引き戻される。
「……あ……」
安定した地面。そして知っている温もりと力強さに抱きしめられ、恐怖から高鳴っていた心臓が徐々に落ち着きを取り戻していく。
そして、私の感情も。
「良かった……ミア……」
「ルイス……」
ルイスルートではない。
ヒロインの放った言葉が事実なら、ルイスの幸せはどうなるのだろうか。
心配が心を過るものの、私はルイスにバレないよう、筋肉や温もり、そして香りを堪能しまくった。
ヒロインらしからぬというか、ヒロインと程遠い姿に呆けていれば、怒涛の如く言葉が浴びせられる。
しかも……意味が分からない。
マリー・クレトン子爵令嬢だ! という声が聞こえたかと思えば、周囲に居た人達は逃げるように去っていき、この場に居るのは私達二人だけとなった。
「ルイスとの好感度が一切あがらないし! そもそも何でアンタがルイスに守られてるわけ!? どれだけ嫌がらせしたって、図々しくルイスの隣に居るし!」
え? ルイスルートじゃないの? 今までの全部違うの?
ちょっと! ルイスルート見たいんですけど!?
じゃあ今の現状は何だというのだ。
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植木鉢……? てか、今ペンを壊したって……。
私の脳裏に過ったのは、推し活に使うボイスレコーダーだ。それ以外にない。
顔色を変えたというか、壊されてショックだったのは、それだけなのだ。
「……何よ、その目」
渾身の恨みが目に宿ったのだろう。
私は無意識のうちにヒロインを睨みつけていたようで、ヒロインも負けじとこちらを睨み返してくるけれど、そこには不満の色が浮かび上がっている。
むしろ不満は私の方だ! 言いがかりもいい加減にして欲しい。
というか、しっかりとルイスルートというものを教えて欲しかったのに!
「あの……」
「ほんっと、むかつく!」
言い返そうと口を開いた瞬間、身体に強い衝撃が走って傾いていくのが、スローモーションのように感じた。
「覚えてなさいよ! 消えてもらうから!」
押された。と認識する間に、ヒロインは叫んで立ち去っていく。
何とか体制を立て直し、倒れないようにと足を移動させれば、そこは階段で……。
「!?」
足が空を切り、段差を踏み外せば、私は何かを掴もうと手を伸ばすけれど、ただ空を切るだけ……。
「ミア!!」
名前を呼ばれると同時に、焦った表情のルイスが視界に映り、瞬時に強い力で引き戻される。
「……あ……」
安定した地面。そして知っている温もりと力強さに抱きしめられ、恐怖から高鳴っていた心臓が徐々に落ち着きを取り戻していく。
そして、私の感情も。
「良かった……ミア……」
「ルイス……」
ルイスルートではない。
ヒロインの放った言葉が事実なら、ルイスの幸せはどうなるのだろうか。
心配が心を過るものの、私はルイスにバレないよう、筋肉や温もり、そして香りを堪能しまくった。
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