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 どんなルートなのだろうかと、抑えきれない高揚感を表に出さないよう、必死に真顔を作っていれば、更に周囲は違う話題を出し始める。

「セフィーリオ公爵令息にも色目を使っておりましたよね?」
「公爵令息が、いつも躱していたのは知っていますが」
「公爵令嬢を邪魔者のように扱って、虐めていたように見えますよね?」
「令息には言い寄っていましたが」

 いつの間に!?
 ルイスってば、知らない所でヒロインとの距離を縮めていたのか! あれ? でも婚約解消の事は言われていないぞ?
 そうなると、どうなるのか……これ、もしかして王太子殿下に攻撃するルイスルートだったりする!?
 わくわくした気持ちで成り行きを見ていれば、王女殿下がキリッとした顔で口を開いた。

「高位貴族の男性に言い寄る上、嫌がらせまで行っていたとは……いきなり無礼な態度、失礼いたしました」
「い……いえ、大丈夫です!」

 隣国の王族が謝罪を口にした事で、私は焦った。
 けれど、そんな私の様子を一切気にも留めず、王女殿下は後ろの二人を見る。

「今から苦言を呈しに行きますよ」

 悪役令嬢、断罪の予兆!? それはそれで見ているだけなのは心苦しいのだけれど……。
 しかしルイスの幸せを最優先する私は少し慌てるだけだ。そんな私の様子を、ルイスはチラリと見て、溜息をつきながら口を開いた。

「……王女殿下。冤罪をかけられないように気を付けて下さい。あいつは頭がおかしいので」

 ヒロインに対する物言いよー! 愛情の裏返しなのか!? ルイスにとって真実の愛って、ツンデレ気質だったりするの!?

「王族の影を付けてはどうでしょうか」

 ルイスの言葉に、クラスの令息令嬢達が力強く何度も頷く。
 許可がされていないので発言は出来ないけれど、態度で示す皆に視線を巡らせた王女殿下は、美しいアクアマリンの瞳に冷たさを宿らせた。
 あ! 悪役令嬢の断罪がなくなる!?
 安心すると共に、ルイスの幸せが心配になるけれど、今この状況を止めるなんて芸当、私には出来ない。
 むしろ止めた方がおかしいのでは!? それこそ私が悪役令嬢になるみたいではないか。私はルイスの幸せな結末を見たい!
 静観していれば、王女殿下は深く頷き、後ろに居る二人へと再び視線を戻した。

「貴女達は、必ず私の側に居る事」
「はい」
「分かりました」

 その一言で、王女殿下が自分に影を付ける事が分かり、クラスの中に安堵の息が広がった。
 ――影。きっと、隣国側だけでなく、無実を証明する為にこちらの国の影も付けるだろう。
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