【完結】悪役令息の義姉となりました

かずきりり

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「そもそも、ミアだってもう十五になるというのに婚約者も居ないのよ?」
「要りません!」

 ルイス以外、推せる自信もないし、折角この世界に来たのであれば、一生ルイスを推していたい!
 いや、まぁ前世でも推していたけれど。
 そもそも結婚に良いイメージが湧かないのだ。あんな奴隷活動を誰が好んでやりたいというのだ。世間一般的にあれが間違いだと言われても、それを経験してしまっている以上、なかなか拭えないというものだ。

「ミアが嫌がるから婚約者は作らなかったが……公爵家の事を考えるとルイスと婚約してもらえれば……」
「お父様は私が結婚しても良いのですか?」
「それは嫌だけれども!」

 娘大好きな父親の気持ちを揺らがすように、私は潤んだ瞳で見つめるけれど、それはお母様には通用しない。

「あなた! 既に良い高位貴族の縁談は決まってますのよ? これ以上先延ばしにするくらいならルイスと……」
「駄目ですー!!」

 それは駄目。
 絶対駄目。
 だって、ルイスも十五なのだ。

 ――十五歳は、学院へ入学する歳になるのだから。

 もうすぐ、私達も学院へ行く事になる。そうすればルイスはヒロインと出会い、恋に落ちるだろう。
 攻略対象ではないけれど、今のルイスなら実ってもおかしくない恋だ。
 ルイスの幸せを思うのであれば、私は全力でヒロインとの恋を応援したい。
 推しの幸せは私の幸せなのだから!
 そうよ! 私にはルイスを幸せにするという目的があるのだ。自分の婚約や結婚なんて、二の次、三の次!

「義姉上……」

 心機一転、心に再度誓っていれば、愛おしいルイスの声が聞こえた。

「はい! 何でしょうー?」

 優先するは最愛の推しルイス!
 そんな私の様子に、両親は呆れたような顔で見守る。

「義姉上は……俺のこと、嫌い?」
「大好きです!」

 あざとく小首を傾げるルイスもご褒美だ!
 私は即座に答えたのだけれど、それを聞いたルイスの口角がゆっくり上がる。

「なら問題ないですよね」
「え」

 ルイスがにこやかに言えば、私にノーと言えるわけがない。
 推しの言葉に拒絶で返せるわけがないだろう!

「なるほど、その手があったか」
「ルイスは、この婚約が嫌ではないの?」
「大歓迎です」

 お父様は頷くも、お母様は少し心配そうにルイスに問うたのだが、ルイスは満面の笑みで答える。
 そんな事を言われれば私も嫌と言えるわけもなく……でもヒロインが……。……ヒロインと恋に落ちたら、ルイスから婚約解消でも言われるか?

「お……お試しで……?」

 ルイスが婚約解消しやすいよう、そう答えれば、急ぎ誓約書に書類させられる事となった。
 ……まぁ、ヒロインが現れるまでだ。そう自分に言い聞かせて。
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