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 ――拝啓、前世の私よ。
 推しに出会えて仲良くなる事に成功しました。
 まさかの義姉なのですが、その地位を最大限に発揮して、萌え推し活なんてのを始めよう!
 ……と思っていたのですけれど……。

 ドッカーンッ!!

「ミア!? 貴方今度は一体何を……キャーーっ!?」
「……ごめんなさい、お母様……」

 爆発音が聞こえ、淑女らしからぬドタドタと足音を立てて駆け込んできたお母様は、部屋に大きな風穴が開いているのを見た瞬間、卒倒しそうになる。
 だけれど、そこは公爵夫人。何とかふんばって意識を保ち、鬼のような形相で私の方へと歩みを進めて来た。
 鬼……いや、般若だよ! あれは! 怖い! 怖い! 怖い!!

「……何をしていたのかしら? ミア?」

 ミア・セフィーリオ。享年十五歳。
 前世より短い今世でした。……って、笑えない!

「あの……魔道具を開発しようかなって……」
「貴女は致命的な魔術オンチでしょう!? 邸がなくなったらどうするの!?」
「ぐっ!」

 自分達だけなら、住む場所、寝る所を失うだけだからまだしも、使用人達もいるのだから! と、侯爵夫人ならではの言葉をまくしたてるお母様。

「今後、魔道具の開発を禁止します!」
「そんな無情な! 密封容器や袋、それにカメラ、推し活に必要な機材が何ひとつ出来ていないというのに!」
「……貴女が何を言っているのか分からないけれど、それはどうも嫌な予感しかしないのよね……」

 眉間に皺を寄せ、疑うような眼差しをしながら、お母様は溜息をついた。
 ルイスの物品を匂い付きで閉じ込める為の密封容器や袋。ルイスのスチルを抑える為のカメラ!
 そう、魔術家なのに、私は何故か魔術オンチな次期当主という座についてしまっているのだ。
 認められない。認めたくない!
 何で! どうして! 折角の魔術家系なのに!
 おかげで十年も無駄にしているわけだけれど……どうしても諦めきれない! セフィーリオ魔術家の血よ! 私に魔道具を作らせておくれ!
 ビデオカメラまで欲しいのだ!

「……ルイスに何をするつもりなの?」

 私の心に邪なもので満たされているのを感じ取ったのか、お母様は私に顔を近づけて率直に聞いてきた。

「ナニモ?」
「嘘おっしゃい」

 目を合わせたら石にされるような恐怖を覚える眼差しから反らして答えれば、即座にお母様は何やら黒い怒りのオーラを纏う雰囲気で反論する。

「ルイスに注意喚起をして、ミアを見張らなくては……」
「近づいてもよろしいですよね!?」
「触れるのは禁止よ」
「そんなぁ……」

 お母様の無情な声に、私は必死に縋り付く。
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