【病み系】短編集

かずきりり

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無邪気な食事

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「あははっ!あはっはっはっははは!!!」

闇に響くように発せられた笑い声。
暗闇の中、淡い光に照らされて覗く赤い瞳。
長い髪と細いラインがシルエットに浮かび上がる。

目が慣れてくると見えてくる。俺をいたぶってるモノが。
タンクトップにジーパンという、普通の格好だが、比較的白い病人のような肌に、腕には無数の傷痕。
左手にサバイバルナイフを握り、歪んだ微笑を俺に向ける。
俺を切りつけ、返り血を体いっぱいに浴びて残酷な…でも無邪気な笑いをする。

「くくっ…くすくすくすっ」

そして一言、俺に対して初めて言葉を放った。

「いただきます」



空腹の胃の痛み―
喉が焼けてるように渇いてる―

身体が何を求めてるかなんて分かってる。
今、誰も私の視界の中に入らないで…入ったらいけない。
私は私の本能を抑えられなくなる。

人は器。その身体は器。
その白い皮膚を切り裂いたら赤黒い綺麗な血が噴出す。
そう…人は物。人は食物。人は……

欲望が蠢く。自我が機能しなくなる。理性という仮面ははがれ、本能のみの獣と化す。

この飢えを満たす為に
この口渇を癒す為に

望むモノを口にしろと、頭の中で生きる自分が言う。
自分は第三者の視線に立ち、動く身体をゆっくりと眺める。
隠してあるサバイバルナイフを手にとると、ゆっくりと夜の街へ歩み出た。
これから起こる惨劇に、悲しみと楽しみを備えた私が、ゆっくりと…
ゆっくりと人気のない場所で獲物が来るのを待ちわびた。



―決して足で踏みつけたりしない―

―倒れる事すら許さない―

汚いモノは口に入れたくないでしょう?
落ちたモノは要らないから。

近くの木へと、吊り下げたら解剖の開始です。
正確には2人だけど、楽しむのは、たった一人の飲食会。

喰う者と喰われる物。

白い肌へ深く深く切り込みを入れて内臓を、えぐり出すと口に運ぶ。
もう息どころか心臓さえ働いていないソレは、叫び声をあげる事も抵抗する事もなくなった。

ペチャッ…クチャクチャ…

骨は地中深くへ埋め込んで服は焼却処分しちゃいましょう
いつも決まった周期で起きる発作。
人を食べたくて食べたくて食べたくて仕方なくなる。

―カニバリズム―
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