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37.大神官の目的は
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「こんな素敵に対してジジィなんて!」
豊満な胸を揺らしてロアナは叫ぶが、年齢は変わらない。親子程に年が離れている事を理解していないのか……。
ロアナはその胸を押し付けるように大神官の腕に絡みついている。……うん、もう大神官とか聖女って何だろうね?とさえ思えてしまう。……破廉恥聖女だ。いやもう露出聖女だ。
目を覚ませ。そう言いたかったが、ユーリィが祭壇を見つめたまま歯を鳴らして怯えているのが見え、あたしは魔人の存在を思い出した。
「……ここに魔人の気配がするそうだが」
王太子殿下が前に出て、大神官に向かって鋭い視線を投げつけながら言う。
そうだ。とりあえずジジィが事実だと言う事よりも、そちらだ。ジジィがジジィという事実とあたしをガキ扱いした報いは後にしよう。
「これは王太子殿下。えぇ、そうですよ。最初は討伐された魔王の血を手に入れるつもりだったのですが……まぁ、今ここに居るのでいいのですよ」
「……何だと?」
魔人の存在を否定する事もなければ、更には魔王討伐に関してまで何かしらの意図があった事を吐露する大神官に、王太子殿下は眉を顰めた。
……ユーリィの血?討伐?
レオンやジャンは警戒心を強めるけれど、あたしは思わず怒りで背筋がゾワリとする。
「所詮、称号のようなもの。いくら神が定めたと言っても、魔王なんて人間以上の魔力を持っている存在なだけだ。ならばその存在を有意義に使おうと、勇者に討伐された後の魔王をどうしようと勝手だろう?」
「ハレアド教の教えを広めている教会の大神官が言う事か!」
「あぁ、だからこそ、教会がある程度の実権を握っているのではないか……ただ、私はある程度で納得はしていないがね!」
なんだコイツ。
眉間に皺をよせて、大神官というジジィを得体のしれないもののように見つめた。
実権とか、権力や地位なんて生きやすくなる為の物だとしか思えなくて、ただ生きるという一点だけに必死となっていれば、そんな事は正直どうでもいい。というか、考えてなんていられない。
結局、コイツ等は暇人か。なんて思う。
「……それで、魔王の血で何をするつもりで?……魔人の気配と関係があるのか?」
ジャンが大神官ではなくロアナの方を睨みつけながら言う。
ロアナが大神官の命令に従っているのならば、討伐した後に魔王の血を持って帰っていたのはロアナだ。
ロアナはジャンに睨みつけられても平気と言わんばかりに微笑み、魔法陣にチラリと目を向け、言葉を放った。
「これが召喚の魔法陣だと気が付かないわけ?」
豊満な胸を揺らしてロアナは叫ぶが、年齢は変わらない。親子程に年が離れている事を理解していないのか……。
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目を覚ませ。そう言いたかったが、ユーリィが祭壇を見つめたまま歯を鳴らして怯えているのが見え、あたしは魔人の存在を思い出した。
「……ここに魔人の気配がするそうだが」
王太子殿下が前に出て、大神官に向かって鋭い視線を投げつけながら言う。
そうだ。とりあえずジジィが事実だと言う事よりも、そちらだ。ジジィがジジィという事実とあたしをガキ扱いした報いは後にしよう。
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「……何だと?」
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……ユーリィの血?討伐?
レオンやジャンは警戒心を強めるけれど、あたしは思わず怒りで背筋がゾワリとする。
「所詮、称号のようなもの。いくら神が定めたと言っても、魔王なんて人間以上の魔力を持っている存在なだけだ。ならばその存在を有意義に使おうと、勇者に討伐された後の魔王をどうしようと勝手だろう?」
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「あぁ、だからこそ、教会がある程度の実権を握っているのではないか……ただ、私はある程度で納得はしていないがね!」
なんだコイツ。
眉間に皺をよせて、大神官というジジィを得体のしれないもののように見つめた。
実権とか、権力や地位なんて生きやすくなる為の物だとしか思えなくて、ただ生きるという一点だけに必死となっていれば、そんな事は正直どうでもいい。というか、考えてなんていられない。
結局、コイツ等は暇人か。なんて思う。
「……それで、魔王の血で何をするつもりで?……魔人の気配と関係があるのか?」
ジャンが大神官ではなくロアナの方を睨みつけながら言う。
ロアナが大神官の命令に従っているのならば、討伐した後に魔王の血を持って帰っていたのはロアナだ。
ロアナはジャンに睨みつけられても平気と言わんばかりに微笑み、魔法陣にチラリと目を向け、言葉を放った。
「これが召喚の魔法陣だと気が付かないわけ?」
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