【完結】女が勇者で何が悪い!?~魔王を物理的に拘束します~

かずきりり

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35.王太子殿下の圧

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「……教会?」
「何故、ここに魔人の気配が?」
「おかしいんじゃないか」

 レオンが珍しく真剣な表情で教会を睨みつけながら呟けば、ジャンと王太子殿下も疑問を口にする。
 全知全能の神を称えている教会。魔人なんて対極の存在だ。むしろ勧善懲悪な考えをしているからこそ、魔人との関わりを自ら持つなど考えられない。魔王に対してだって、存在そのものを忌み嫌う程だったのだ。

「行こう」

 誰もが祈り捧げる事が出来るように開かれている入り口から礼拝堂へ入る。
 ユーリィが今にも白目を剥いて意識をなくしそうだが、ジャンのかけた魔法が効いているのか、気絶する事が出来ず、ガタガタと身体を震わせている。歩けなさそうだな、と思いながら抱き上げたまま、あたしはユーリィの温かさや重さをじっくり堪能しながら周囲を眺めると、小さな声が腕の中から聞こえた。

「……あっち……地下」

 ユーリィの指さす方へ足を向ければ、皆も聞こえていたのか、そちらの方を向く。

「こちらは関係者以外の立ち入りを禁止しております」
「失礼ですが、お約束等はありますか?」

 礼拝堂から奥へ向かう扉に行けば、守衛に止められる。
 ここで、あ~わかりましたー!なんて言うわけがない。武力行使かなと思い、レジェに目くばせをしてユーリィを下ろせば、レジェは意図を察したのか直ぐにユーリィを支えてくれた。うん、立てるようだから問題ないかな!

「ちょっと待て」

 ならば、と守衛の方へ向けば、ジャンに腕を掴まれて止められた。

「……殴るのはまだ早い」
「…………」

 耳元でボソリと言われた言葉に、思わず眉を顰める。
 とっとと倒して、さっさと進む事の何が悪いんだと思うけれど、ジャンが礼拝堂に居る人達へ視線を向け、意図を示した。……人を巻き込むな?大事にするな?まぁそういう感じかなと思うけれど、じゃあこの場をどうするんだと不満気に睨め付けた時、ふいに王太子殿下が前へ出た。

「ハロルド・アルスベインだ。緊急事態の為、通させてもらう」
「王太子殿下!?いやしかし……教会は国に属さず……いくら王族の命令と言えど……」
「緊急事態だと言っている。この国の命運がかかっているんだ。……何かあった時に、責任が取れるのか?」

 一緒にお茶をしている時は、呑気だとすら思えた王太子殿下だったけれど、今はさすが王族と言わんばかりの威厳と威圧を醸し出して、護衛は怯んだ。
 責任、その言葉に護衛は後ずさり、言葉を詰まらせる。その間に、王太子殿下は有無を言わさず中へ入り、あたし達も後へ続いた。
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