【完結】女が勇者で何が悪い!?~魔王を物理的に拘束します~

かずきりり

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33.実にシンプルで簡単な事

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「……魔人?伝説上の?」
「魔人は神に等しい力を持つとされていて、魔王より遥かに強い存在だが……」

 魔人というのはあたしも聞いた事がある。魔王が悪いものとされているけれど、魔人も同じようなものだ。だけれど、魔人は魔神と言う言葉が変わったと言われる程で、神にも等しい力を持ち、この世を滅ぼす存在だとも言われている。
 まぁ、完全におとぎ話のようなもので、悪い事をしていたら魔人が来ちゃうよ!なんて子どもに言い聞かせるようなものだったりもする。
 ジャンと王太子殿下は眉を顰めて考えているようだが、考えても答えなんて出ないだろうに。

「俺には分かる!魔人の力がこの世に現れた事が……あぁあああ!もうおしまいだぁ!!」
「魔人はこの世を滅ぼす存在である事は確実です」

 椅子に縛り付けられた状態で倒れ込みながら、ユーリィは絶叫をあげるも、力尽きたように動かない。レジェも悲痛な表情でそんな事を言う。そこに希望はないかのように。

「伝説じゃなく、実在していた……?」
「世界にとって一大事じゃないか!何故そんな存在がこの世に現れたんだ!?」

 呆然とするジャンに、今ここで原因追及をしたところでどうしようもないだろうと言いたくなる王太子殿下の言葉。何故、よりもあたしにとって一大事な事がある。

「世界がなくなったらユーリィと一緒に居られない!夫婦の誓いは!?」
「あっははははははは!!!!」
「「…………」」

 あたしの言葉に大爆笑するレオンと、今の状況で何やってんだコイツ等と言わんばかりの表情をするジャンと王太子殿下。
 だって、ぶっちゃけ国とか世界なんて、どうでもいい。大事なのはあたしの事だ。生きる!そして幸せを掴む!ぐだぐだ考えても仕方ない、人生なんて実にシンプルなものだと思う。

「……え」
「は?」

 一拍置いて、今気が付いたと言わんばかりのユーリィは顔を引きつらせ、レジェは眉間に皺を寄せて怪訝な目をあたしに向けた。
 ……そんな理解不能な事を言ったつもりはないんだけれど。

「ユーリィと結婚出来ないのは大問題だし、ユーリィが死ぬなんて許せない!」
「…………」
「魔王様!?魔王様ー!!」

 あたしが真剣にユーリィへ伝えれば、ユーリィは白目を剥いてまたも意識を失い、レジェは慌ててユーリィの意識を取り戻そうと声をかけた。……解せぬ。

「とりあえず魔人をどうにかすれば良いと」
「そうだな。行くか。おーいユーリィ、起きろー!魔人の気配教えろー!」

 至極簡単な結論を出せば、レオンもそれに便乗し、ユーリィを起こそうと左右に振る。
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