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26.優しいユーリィ
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「あ」
武器という名の魔物は右手。近づいている魔物は左側。左側にはユーリィを担いでいる。
これ動きにくい!と、ハッキリ自覚した瞬間、ユーリィが身体を強張らせ、あたしの服にしがみ付いで叫んだ。
「防御ー!!」
……防御?ならば多少は振り回しても大丈夫?
なんて思ったけれど、ユーリィにもしもの事があってはいけない。あたしは持っていた魔物を捨てて右へと思いっきり飛んで避け、またも近くにあった魔物を手にする。
背中の服を握って震えるユーリィ、めちゃくちゃ可愛い。絶対あたしが守らないと!なんて事を思いながら、あたしとレオンは魔物を倒していき、討ち漏れた魔物はジャンが魔法で倒していく。
「ラストー!!」
最後の一匹を殴り粉々にして、あたしが叫ぶと、ジャンとロアナが駆け寄ってきた。
「何やってんだよ!」
「大丈夫ですか!?」
ジャンに怒鳴られ、ロアナはあたしの肩からユーリィを下ろして声をかける。
「えー、ちゃんと守ったよ?」
「「そういう問題じゃない!!」」
不満そうにあたしが言えば、二人に怒鳴られた。レオンはお腹を押さえて笑うばかりで、一切庇ってくれない。解せぬ。
「怪我は……ないようね」
「ちゃんと守ったからね!」
ロアナがユーリィを確認して言うも、あたしは怪我をさせた覚えなんてない。
胸を張っていれば、何故かロアナとジャンは頭を抱えて溜息を吐き、レオンは更に笑い転げた。……何で?怪我させてないなら、それで良いじゃないか。
頭を傾げて皆を見ていれば、ユーリィがのろのろと起き上がる。
「起き上がれる?」
ジャンがユーリィに声をかけたが、ユーリィはその声に対して返事をする事なく、よろよろと立ち上がると、魔物達の死骸を眺めて呆然とした。
「……かわいそうに……」
「「え?」」
よろよろと魔物達の死骸へと向かうユーリィの目には涙が溢れ、零れ落ち、そしてユーリィも膝から崩れ落ちたかと思えば、魔物達を弔うように祈った。
それをジャンとロアナは理解出来ないと言った目で見ていたが……あたしのユーリィ、めっちゃ優しい!魔物達に対して涙を流すとか、物凄く優しい人じゃない!?
「え、あたしの旦那様、優しすぎない!?」
「結婚してないでしょう」
「一方的に突っ走りすぎ」
ユーリィは必死に祈っていて、あたしの声が聞こえていないのだろうか。ロアナとジャンから突っ込みが入った。
いや、もう旦那様で良くない?あたしユーリィの事を離すつもりもないし、むしろ付き纏うつもりしかないし。
そんな事を言えば、ロアナとジャンは膝から崩れ落ち、レオンは地面を叩きながら大笑いした。……え?何で?
武器という名の魔物は右手。近づいている魔物は左側。左側にはユーリィを担いでいる。
これ動きにくい!と、ハッキリ自覚した瞬間、ユーリィが身体を強張らせ、あたしの服にしがみ付いで叫んだ。
「防御ー!!」
……防御?ならば多少は振り回しても大丈夫?
なんて思ったけれど、ユーリィにもしもの事があってはいけない。あたしは持っていた魔物を捨てて右へと思いっきり飛んで避け、またも近くにあった魔物を手にする。
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「ラストー!!」
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「大丈夫ですか!?」
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「ちゃんと守ったからね!」
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胸を張っていれば、何故かロアナとジャンは頭を抱えて溜息を吐き、レオンは更に笑い転げた。……何で?怪我させてないなら、それで良いじゃないか。
頭を傾げて皆を見ていれば、ユーリィがのろのろと起き上がる。
「起き上がれる?」
ジャンがユーリィに声をかけたが、ユーリィはその声に対して返事をする事なく、よろよろと立ち上がると、魔物達の死骸を眺めて呆然とした。
「……かわいそうに……」
「「え?」」
よろよろと魔物達の死骸へと向かうユーリィの目には涙が溢れ、零れ落ち、そしてユーリィも膝から崩れ落ちたかと思えば、魔物達を弔うように祈った。
それをジャンとロアナは理解出来ないと言った目で見ていたが……あたしのユーリィ、めっちゃ優しい!魔物達に対して涙を流すとか、物凄く優しい人じゃない!?
「え、あたしの旦那様、優しすぎない!?」
「結婚してないでしょう」
「一方的に突っ走りすぎ」
ユーリィは必死に祈っていて、あたしの声が聞こえていないのだろうか。ロアナとジャンから突っ込みが入った。
いや、もう旦那様で良くない?あたしユーリィの事を離すつもりもないし、むしろ付き纏うつもりしかないし。
そんな事を言えば、ロアナとジャンは膝から崩れ落ち、レオンは地面を叩きながら大笑いした。……え?何で?
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