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21.ウォッチングします
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「大丈夫ですか?」
ジャンが素早く駆け寄り、声をかける。ロアナもジャンの後ろをついて行く中、あたしとレオンはゆっくりと歩いて向かう。
どうせ、急いで向かったとしても、動くな何もするなと言われるのがオチだ。どうせ力業でしか解決できませんよーだ。
「中に居た人達は助け出せたのですが……一人、怪我が酷くて……」
荷馬車から人を助けていた男性がこちらを向いた。
真っ黒なマントで頭から全身を覆っている、いかにも怪しい風貌だが、黒い髪がフードからチラリと見えた。しっかりとこっちを見て話す男性は、綺麗系な顔立ちなのに金色の切れ長タレ目で、思わずあたしの胸は高鳴った。
「え!?名前!名前は!」
「え、ちょっと何。落ち着いて」
「……マリー?」
知りたい欲求が止まらず、すぐに駆け出して男性の目の前に行って聞けば、ドン引きしたジャンと、訝し気な目で睨むロアナ。だけど、あたしにそんなのは関係ない!
「えと……ユーリィと……」
ユーリィと名乗った男性は、心配そうにチラチラと怪我人の方へ視線を向けている。うん!なんて優しい人なんだろう!
「ロアナ!早く治してあげてよ」
「言われなくても治すわよ!」
荷馬車に居た人は三人程の男で、一人は体格がよく、護衛のようなものだろう。……その人が足に深い傷を負っているのだけれど。……荷馬車が倒れた時に、下敷きとなったのかな。
まぁあたしはそれより、ユーリィだ。身長は190位だろうか、しっかり見上げてその顔を拝んでいると、ふとユーリィがフードの前を掴む形で顔があんまり見えないようにした。
恥ずかしがり屋さんなのだろうか。そこすらも可愛い!……けれど、先ほどフードの中に何やら人間ではありえないような物が見えた気ようなのだけれど……。
ジーッとユーリィを見つめて、その姿を目に焼き付けているあたしから、ユーリィは必死に視線を反らそうとする。うん、可愛い。
それでも逃す気はなく、顔を背けた先にあたしは行くのだけれどね。
「終わったわ」
「ありがとうございます」
そうこうしている内に、ロアナが馬車に居た怪我人を治したようだ。さすが聖女。破廉恥でも聖女。
「あぁ、ぬかるみにはまって荷馬車が横転したのか……レオン、荷馬車をおこせるか?」
「おー!任せとけ」
レオンはすんなり荷馬車を立て、ジャンは車輪等を見て回る。
……あたしなら壊しそうだな。なんて思いつつもユーリィウォッチングに余念はない。……なんか最終的に空を仰いで、あたしに顔を見られないようにしてるけど。解せぬ。
「この先の村に行かれるところで?」
「あ、はい。木材を売りに行き、衣類を買って、これから帰るところです」
「荷馬車は問題なく動きそうだよ。荷物は……汚れてはいるけれど、それだけみたいだ」
ジャンの言葉に、三人は嬉しそうにお礼を言って頭を下げた。
ジャンが素早く駆け寄り、声をかける。ロアナもジャンの後ろをついて行く中、あたしとレオンはゆっくりと歩いて向かう。
どうせ、急いで向かったとしても、動くな何もするなと言われるのがオチだ。どうせ力業でしか解決できませんよーだ。
「中に居た人達は助け出せたのですが……一人、怪我が酷くて……」
荷馬車から人を助けていた男性がこちらを向いた。
真っ黒なマントで頭から全身を覆っている、いかにも怪しい風貌だが、黒い髪がフードからチラリと見えた。しっかりとこっちを見て話す男性は、綺麗系な顔立ちなのに金色の切れ長タレ目で、思わずあたしの胸は高鳴った。
「え!?名前!名前は!」
「え、ちょっと何。落ち着いて」
「……マリー?」
知りたい欲求が止まらず、すぐに駆け出して男性の目の前に行って聞けば、ドン引きしたジャンと、訝し気な目で睨むロアナ。だけど、あたしにそんなのは関係ない!
「えと……ユーリィと……」
ユーリィと名乗った男性は、心配そうにチラチラと怪我人の方へ視線を向けている。うん!なんて優しい人なんだろう!
「ロアナ!早く治してあげてよ」
「言われなくても治すわよ!」
荷馬車に居た人は三人程の男で、一人は体格がよく、護衛のようなものだろう。……その人が足に深い傷を負っているのだけれど。……荷馬車が倒れた時に、下敷きとなったのかな。
まぁあたしはそれより、ユーリィだ。身長は190位だろうか、しっかり見上げてその顔を拝んでいると、ふとユーリィがフードの前を掴む形で顔があんまり見えないようにした。
恥ずかしがり屋さんなのだろうか。そこすらも可愛い!……けれど、先ほどフードの中に何やら人間ではありえないような物が見えた気ようなのだけれど……。
ジーッとユーリィを見つめて、その姿を目に焼き付けているあたしから、ユーリィは必死に視線を反らそうとする。うん、可愛い。
それでも逃す気はなく、顔を背けた先にあたしは行くのだけれどね。
「終わったわ」
「ありがとうございます」
そうこうしている内に、ロアナが馬車に居た怪我人を治したようだ。さすが聖女。破廉恥でも聖女。
「あぁ、ぬかるみにはまって荷馬車が横転したのか……レオン、荷馬車をおこせるか?」
「おー!任せとけ」
レオンはすんなり荷馬車を立て、ジャンは車輪等を見て回る。
……あたしなら壊しそうだな。なんて思いつつもユーリィウォッチングに余念はない。……なんか最終的に空を仰いで、あたしに顔を見られないようにしてるけど。解せぬ。
「この先の村に行かれるところで?」
「あ、はい。木材を売りに行き、衣類を買って、これから帰るところです」
「荷馬車は問題なく動きそうだよ。荷物は……汚れてはいるけれど、それだけみたいだ」
ジャンの言葉に、三人は嬉しそうにお礼を言って頭を下げた。
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