【完結】女が勇者で何が悪い!?~魔王を物理的に拘束します~

かずきりり

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19.破壊された港

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 そうしているうちに、魔物の目に破片が入ったのだろう、触角を振り回し始めた。

「うわぁああ!」
「港がー!」
「船が!防波堤が!」
「白浜が!」

 魔物が触角を振り回し暴れる事で、人々の泣き叫ぶ。
 あたしが投げていた防波堤は触角の攻撃で全て砕け散り、水がこちらに向かってきて、砂浜は水に浸かった。大きな波がきた事により、残っていた船も全て転覆し、海の中へと消えて行く。
 人々の所まで水が来ないようにジャンが風魔法を展開して水を食い止めていたので、建物等は無事だろう。それにしても……見事に悪化した感じ?あの触角がとてつもなく面倒臭い。
 何とか出来ないかと周囲を見渡していれば、船に繋がれていた太くて長いロープが目に入る。

「これだ!」

 獲物を狩る時にナイフだけではない。むしろ捕獲する時にはロープも使うのだ!
 あたしはロープを繋げて長さを造り、先に岩を結びつける。

「み……みなさん!離れて下さいーー!!」

 ジャンが先を読んだかのように叫び、人々を非難させる。

「巻き込まれても知らないからね~!」
「何やってんの!!」

 ロアナの叫び声が聞こえたが、今更止まる事は出来ない。ロアナが人々へ防御の魔法を展開するタイミングで、あたしはロープを持って岩を振り回した。ぐるんぐるんと、それはもう思いっきり。

「どんな風圧よ!?この怪力!」

 ロアナが何か叫んでいるけれど、知らない。

「レオン!いったん戻れ!」
「おう!」

 ジャンは、確実に巻き込まれるだろうレオンへ声をかけ、レオンは魔物の頭部辺りに辿り着くと、そこを足場にしてこちらの方へ跳躍した。
 確かに、あのうごめく触角を足場にするのは分が悪い。ずっとしがみ付いているというのも、海の中にでも潜られた時が大惨事だ。
 呼吸は大事。酸素は生きていく為に必要なもの!

「いっけー!!」
「巻きつけ!!」

 あたしの掛け声で放たれたロープに、ジャンは風魔法で補助をしてくれた。見事魔物の方へ向かったロープは、そのまま魔物をぐるぐる巻きに捕獲して触角の動きを封じる事ができた。その隙に、レオンは魔物へ向かって跳躍し、その勢いのまま魔物を切り裂き、見事討伐を成功させた。

 ――のだが。



「……ねぇ、自分達が何をやったか分かってる?」
「ホント、なんなのコイツ等……」
「「ごめんなさい」」

 港を破壊したという事で、あたしとレオンの二人は、ロアナとジャンにお説教を受けている。
 しばらくは売り物を取る事すら出来ないと呆然自失な人達に、あたしは大変な事をしでかしたのかと理解した。
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