【完結】女が勇者で何が悪い!?~魔王を物理的に拘束します~

かずきりり

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16.港町では

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「やったー!お魚!海ー!」
「ちょっと私は装飾品でも見てくるわ……」
「え!ずる!!」

 やっと到着した港町。ジャン曰く、魚が美味しいとの事!なので、さっそく港へ立ち寄ろうと思ったのだが、ロアナは買い物へ行くと別行動したのだ。

「女の身だしなみってやつか~?旅の最中だし気にしないけど」
「どちらかに気があるんじゃない?知らないけど」

 レオンの言う通り、身だしなみを気にしていたら旅にはならない。そりゃロアナは辺境の村まで馬車で来ていたし、歩いての旅なんて慣れていないのかもしれないけれど。
 それより、年頃の娘は恋に恋すると聞く。聞いた事あるだけで、あたしに経験はないし、想像もつかないけど。
 好きとか分からないし、何より目先の農作物が大事だろう。心奪われるは作物の大きさだけだ。

「いや、ないだろ~」
「人間とは寿命が違い過ぎて、そういう目では見る事は出来ないな。確かによく触られるなとは思ってるけど」

 脈無し、と。
 綺麗な顔立ちだし、出るとこ出ていて、締まるところは締まっている。女のあたしから見ても凄いなぁと思う体つきなのに、男達は興味がないらしい。まぁ、あたしも凄いとは思うけれど羨ましいとは思わない。気を配るのは食べ物だけの生活で、そんな余裕はない。
 ……まぁ、そうではない人も居たけれど、それはまだ親が健在だったりしたからだ。

「それより、お魚!お魚!」
「楽しみだな!新鮮な魚!」

 僕が見張り役か……と呟き方を落としているジャンを無視して、あたしとレオンは港にある食堂へと向かう。
 ただ、新鮮なお魚を食べたいが為に……それが、叶わなくなるとは思わずに。







「……ねぇ、自分達が何をやったか分かってる?」
「ホント、なんなのコイツ等……」
「「ごめんなさい」」

 只今、床に座らされたあたしとレオンは、怒り満載なジャンの圧に押されて、謝るしか出来ない状況だ。
 ロアナに至っては、膝から崩れ落ちて、床に手をついて項垂れている。もう、そのうちキノコ生えてくるんじゃない?という位、重く暗い上に、ジメッとした雰囲気を醸し出している。

 事の始まりは港の商店街だ。
 並ぶ屋台には貝や真珠と言った物で作られた装飾品等や、魚を使った食べ物。たまに異国の骨董品と呼ばれるものが売られていて、今まで旅して町の中で一際物珍しかった。
 そして、ちょっと生臭い潮の香りが漂うのは、海の匂いだと言うから本当に驚いた。海に匂いがあるなんて!川や池とは本当に違う!!

「どこまでも広がる、あれが海だよ」

 そう言ってジャンが指さした先にあるのは、一面の水。
 対岸が見える池なんかとは違って、ずっと続く水……から、大きなものが現れた。
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