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15.破壊魔勇者
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「魔王が先か後にもよるけど……」
ロアナの圧に押されつつ、ジャンがそんな事を呟く。
魔王が先か、後か?その土地にって事だろうか。確かに魔王による影響だとジャンは明言していない。
魔王が先なれば魔王の影響。もし、魔王があえて植物の育ちが悪い場所で住んでいるとしたら……?
というか、そもそも辺境の村もそうだけれど、意外と土が固くて農作物を育てるのに向いていなかったりする。繊細な野菜は無理だ。ならば人が寄り付かないような場所に居るとされる魔王の住処なんて……土地に栄養がなくても当然じゃないのか?
「ハレアド教の教えが全てです」
脳を回転させていれば、ロアナの一言で、この話は終わりだと言わんばかりだ。流石聖女、ハレアド教が全てなんですね分かりました。と言っても、聖騎士であるレオンはハレアド教の事を微塵も理解していなさそうで一切口を挟んできていないどころか、欠伸をしていて、一切聞いていない感じだ。
そんなレオンが前方の方へ目を凝らし、何かに気が付いたように口を開いた。
「あ、魔も…………の」
スパッ!!!!
言い終わるが早いか、ジャンが空気の刃を作り出して魔物に向かって放ち、真っ二つにした。
「おーっ!すげぇ!」
レオンは目の前で見たジャンの力に興奮し、魔物の方へ向かって断面を見てははしゃいでいる。
「えー……あたしがやっつけたのに……」
「マリーは動くな!危険すぎる!」
「え……怪我すらした事ないけど……」
「周囲が!」
ジャンが一生懸命訴えてくるけれど、周囲が危険とはどういう事だ。
そりゃ剣を持っていても使いにくいから、魔物の数が多い時は木を引っこ抜いて使うし、それこそ魔物を放り投げて武器にしたりもする。それで多少地面が抉れたりした事はあるけれど、それだけじゃないか。
確かに、ある意味で森林破壊をしているようなものでもあるから、エルフであるジャンが嫌がるのも理解できるけども、そこはそこ。
「魔物退治に必要だったという事で!」
「勇者が破壊魔だなんて聞いてないよ……。こんな小さい身体の、どこにそんな力が……」
「だぁれが小さいって!?」
「ちょ!?マリー!?やめて!」
ちょうど手近にあった岩を持ち上げ、ジャンに向かえば、焦ったように逃げ出す。
もちろん岩を頭上に持ち上げたまま、あたしは追いかける!小さいって言った!小さいって!幼さで言ったら、200歳超えてるのに見た目二十歳くらいにしか見えないジャンの方が問題だろう!
「お?どした?」
「ちょっと!待ちなさいよ!あんた達ー!!」
レオンとロアナを置いて、逃げるジャンと追うあたしは、ジャンが魔法であたしの持っている岩を砕くまで続いた。
否、砕かれるまで、あたしの頭は怒り心頭だった。
ロアナの圧に押されつつ、ジャンがそんな事を呟く。
魔王が先か、後か?その土地にって事だろうか。確かに魔王による影響だとジャンは明言していない。
魔王が先なれば魔王の影響。もし、魔王があえて植物の育ちが悪い場所で住んでいるとしたら……?
というか、そもそも辺境の村もそうだけれど、意外と土が固くて農作物を育てるのに向いていなかったりする。繊細な野菜は無理だ。ならば人が寄り付かないような場所に居るとされる魔王の住処なんて……土地に栄養がなくても当然じゃないのか?
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そんなレオンが前方の方へ目を凝らし、何かに気が付いたように口を開いた。
「あ、魔も…………の」
スパッ!!!!
言い終わるが早いか、ジャンが空気の刃を作り出して魔物に向かって放ち、真っ二つにした。
「おーっ!すげぇ!」
レオンは目の前で見たジャンの力に興奮し、魔物の方へ向かって断面を見てははしゃいでいる。
「えー……あたしがやっつけたのに……」
「マリーは動くな!危険すぎる!」
「え……怪我すらした事ないけど……」
「周囲が!」
ジャンが一生懸命訴えてくるけれど、周囲が危険とはどういう事だ。
そりゃ剣を持っていても使いにくいから、魔物の数が多い時は木を引っこ抜いて使うし、それこそ魔物を放り投げて武器にしたりもする。それで多少地面が抉れたりした事はあるけれど、それだけじゃないか。
確かに、ある意味で森林破壊をしているようなものでもあるから、エルフであるジャンが嫌がるのも理解できるけども、そこはそこ。
「魔物退治に必要だったという事で!」
「勇者が破壊魔だなんて聞いてないよ……。こんな小さい身体の、どこにそんな力が……」
「だぁれが小さいって!?」
「ちょ!?マリー!?やめて!」
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もちろん岩を頭上に持ち上げたまま、あたしは追いかける!小さいって言った!小さいって!幼さで言ったら、200歳超えてるのに見た目二十歳くらいにしか見えないジャンの方が問題だろう!
「お?どした?」
「ちょっと!待ちなさいよ!あんた達ー!!」
レオンとロアナを置いて、逃げるジャンと追うあたしは、ジャンが魔法であたしの持っている岩を砕くまで続いた。
否、砕かれるまで、あたしの頭は怒り心頭だった。
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