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01.あたしが勇者!?
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目の前にいる聖女様と呼ばれている腰までの綺麗なサラサラとしたアイスシルバーのストレートロングの女性は、綺麗な細かい刺繍が散りばめられた白いローブ服を美しく着こなしている。
しかし、綺麗な顔は真っ青で、切れ長の大きな青い瞳を見開いている。
「……ロアナ様?」
お手伝いをしていた女の人が、目の前に居る綺麗な聖女様へ呼びかける。それが名前なのだろうか。
聖女様は、ハッとした顔をして再度私に向き直ると、唇を震わせながら口を開いた。
「……あなたは、【勇者】です」
「……は?」
その言葉に、今度はあたしが呆気にとられた。
勇者……勇者?
……あたし、女ですけど?
疑問符が頭の中を駆け巡っている中、一拍置いた後に周囲が騒めき始めた。
「どういう事だ……?」
「ただの農民じゃないのか……?」
「辺境の村に、まさか……?」
うん。あたしもそう思う。
レテルシア国にある辺境の村。現在の地点はそこで合っている筈だ。
あたしは村の外に出た事もなければ、実際この村で現在執り行われている鑑定の真っ最中だ。
……夢かな?
思わず頬をつねるが、鈍い痛みがある事で、今が現実だと思われる……多分。
レテルシア国は……というか、この大陸全土はハレアド教の信仰が根付いている。
大陸全土といっても、この大陸は大きな4つの国から成り立っているだけだ。
その全てはハレアド教の教えに従い、ハレアド教を称えている。
全ては神から授かり、神の元へ。神に決められた自分なんて全くもって理解出来ない事だが、国のお偉いさん方はそれを信じているというのだから鼻で笑うしかない。
こっちは日々食べるものの為に必死で、神に祈る暇があるなら畑を耕していた方が効率良い。働かざる者、食うべからず!というか、働かないと食べる物がない。
そして今日は……適正職業を見極める鑑定の日である。
人々は適正職業というものを15歳で神から与えられていると言い、その年に全ての人が聖女様の鑑定を受けるとされている。
その為に、こんな辺境の村までハレアド教の聖女様がやってくるのだ。
「……ん?」
ふと前を見ると、聖女様が身体を小さく震わせて、怯えにも似た目であたしの事を見ている。
「あなた…………」
か細く震えた声が耳に届く。
周囲の人達にも聞こえたのか、固唾を飲んで続きの言葉を待つ。
「…………本当に、15歳になったの……?まだ10歳くらいじゃ……?鑑定がおかしいこともあるわよね……?」
「聖女様!それはっ!」
プツンッ
同じ村の人達が聖女様に声をかけたけれど、もう遅い。
認めたくないように、後半は呟くような声になっていたけれど、それも関係ない。
「あたしはっ!!18歳だーーーー!!!!」
「えっ!?18!?15じゃなくて!?」
「ふざけんなーー!!!!」
ぶち切れて上げた怒声に、別の意味で聖女様は驚く。
というか、どう見たらそんなに幼く見えるんだ!確かに身長は低い!まだ149cmしかないが伸びる予定だし!
十分大人の女として見られるだろう!どう見たら子どもに見えるんだ!
あたしが切れて床をドンドンと踏み鳴らしていると、奥の方から神官っぽい服を着た人が出てきた。
「……18?鑑定は15で受けるとされていますが……?」
……やらかした。
疑惑の目を向ける神官様に、頭を抱える村人達。
……盛大に自分からバラした事に、やばいという事を理解し、怒りは急速に萎んでいった。
……だって、仕方ないじゃない。こちとら、日々生きる事で精一杯だったんだから。
しかし、綺麗な顔は真っ青で、切れ長の大きな青い瞳を見開いている。
「……ロアナ様?」
お手伝いをしていた女の人が、目の前に居る綺麗な聖女様へ呼びかける。それが名前なのだろうか。
聖女様は、ハッとした顔をして再度私に向き直ると、唇を震わせながら口を開いた。
「……あなたは、【勇者】です」
「……は?」
その言葉に、今度はあたしが呆気にとられた。
勇者……勇者?
……あたし、女ですけど?
疑問符が頭の中を駆け巡っている中、一拍置いた後に周囲が騒めき始めた。
「どういう事だ……?」
「ただの農民じゃないのか……?」
「辺境の村に、まさか……?」
うん。あたしもそう思う。
レテルシア国にある辺境の村。現在の地点はそこで合っている筈だ。
あたしは村の外に出た事もなければ、実際この村で現在執り行われている鑑定の真っ最中だ。
……夢かな?
思わず頬をつねるが、鈍い痛みがある事で、今が現実だと思われる……多分。
レテルシア国は……というか、この大陸全土はハレアド教の信仰が根付いている。
大陸全土といっても、この大陸は大きな4つの国から成り立っているだけだ。
その全てはハレアド教の教えに従い、ハレアド教を称えている。
全ては神から授かり、神の元へ。神に決められた自分なんて全くもって理解出来ない事だが、国のお偉いさん方はそれを信じているというのだから鼻で笑うしかない。
こっちは日々食べるものの為に必死で、神に祈る暇があるなら畑を耕していた方が効率良い。働かざる者、食うべからず!というか、働かないと食べる物がない。
そして今日は……適正職業を見極める鑑定の日である。
人々は適正職業というものを15歳で神から与えられていると言い、その年に全ての人が聖女様の鑑定を受けるとされている。
その為に、こんな辺境の村までハレアド教の聖女様がやってくるのだ。
「……ん?」
ふと前を見ると、聖女様が身体を小さく震わせて、怯えにも似た目であたしの事を見ている。
「あなた…………」
か細く震えた声が耳に届く。
周囲の人達にも聞こえたのか、固唾を飲んで続きの言葉を待つ。
「…………本当に、15歳になったの……?まだ10歳くらいじゃ……?鑑定がおかしいこともあるわよね……?」
「聖女様!それはっ!」
プツンッ
同じ村の人達が聖女様に声をかけたけれど、もう遅い。
認めたくないように、後半は呟くような声になっていたけれど、それも関係ない。
「あたしはっ!!18歳だーーーー!!!!」
「えっ!?18!?15じゃなくて!?」
「ふざけんなーー!!!!」
ぶち切れて上げた怒声に、別の意味で聖女様は驚く。
というか、どう見たらそんなに幼く見えるんだ!確かに身長は低い!まだ149cmしかないが伸びる予定だし!
十分大人の女として見られるだろう!どう見たら子どもに見えるんだ!
あたしが切れて床をドンドンと踏み鳴らしていると、奥の方から神官っぽい服を着た人が出てきた。
「……18?鑑定は15で受けるとされていますが……?」
……やらかした。
疑惑の目を向ける神官様に、頭を抱える村人達。
……盛大に自分からバラした事に、やばいという事を理解し、怒りは急速に萎んでいった。
……だって、仕方ないじゃない。こちとら、日々生きる事で精一杯だったんだから。
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