【完結】要らない私は消えます

かずきりり

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04.お見舞い

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「ジュリー様は大丈夫かしら」
「どんどんやつれていっているわね」

城仕えの人達がそんな話をしているのは、嫌でも耳に入ってくる。
王宮専属医師が言うには疲労やストレスだと言うけれど……。
だからなのだろうか、涙が止まらない。
眠る事も出来ない。

わたくしはどこに行っても邪魔な存在で
愛されることなんてなくて
居なくなる事を願われている。
心は凪いだように何も感じる事がないと頭で思っていても
胸の痛みがなくても
表情に出る事がなくても
流れる涙は止まる事がなくて


こんな状態でも父が来る事はない。
兄はアルフレッド様の側近だったらしく、数人のご令嬢達と一緒に一度見舞いに来た。兄と会うのはどれくらいぶりだろう。
側近になった事すら知らなくて、ボーっと聞いていたら、ご令嬢達が二人の後ろで嫌な笑みを浮かべながら話しかけてきた。

「そんな健康状態で王太子殿下の婚約者が務まりますの?」
「これでしたら側室を沢山作らなければ、お世継ぎの問題も起きませんこと?」
「……ジュリーの具合も悪そうですし、そろそろ退室いたしましょうか」

さも心配しているかのようなセリフだけれども、わたくしが邪魔なのだろう。
早く居なくなれと。暗に言っているのだ。
俯いたわたくしに気がついたのか、まともに会った事もない兄が皆を連れて退室していく。
とてもとても短い時間。閉まった扉の向こうからはご令嬢達の楽しげな声が聞こえてくる。


義母と義妹は一度王城へちょっとした荷物だけを持ってやってきた。

「情けない」
「お姉さまの部屋の宝石いただくわね~」
「貴族としての努めもロクに果たせないの?」
「病人なら、ドレスも必要ないわね!」
「もう帰ってこなくて良いのに」

使用人を扉付近にまで下がらせ、わたくしを労わるかのように背に手を回し起こしているかのように見えるようにして、つねる。
声が聞こえないように耳元で囁かれる暴言。
表情はとても心配そうで悲しそうなのに、内容は全くそうではない。

「っ!?」
「まぁ!お姉さま!大丈夫!?」

刺すような痛みが走り、声にならない声を漏らすと、ガラテアは心配そうな声を張り上げる。
多分……針で刺したのだろう。
油断していた。

「ジュリー様はお疲れのようですので……」
「……そうね」
「また何かあれば呼んで下さい」

使用人に言われ、優しい義母と義妹を演じ二人は下がっていく。
……常に一人……
ただ部屋に居るだけのわたくしは……
誰からも必要とされていない。
このままで良いのか自問自答を繰り返しながら、わたくしは身につけている毒の存在を確かめた。
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