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60.聞いてません

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あれから、マユの気持ちに対し嬉しさを感じていたと言う竜王様との婚姻も決まり、ならばとラルド様も恋人と婚姻する事になり、より一層忙しい日々となった。
二つの挙式準備と共に、ルフィル国は竜王様とマユが。アズール国はルフィル国の属国としてラルド様が住む事になったわけだが、マユから教わる情報の中には有意義なものも多かった。
その為、挙式準備はどこへやら。竜王様に乗ってマユは頻繁にラルド様の元へ行き、そこで宰相として収まったリスタ様と共に色々な規則や細やかな決め事を決めていっていた為、周囲の負担が倍増していた。

ちなみに足の速度を考え、挙式は二つ一気にアズール国で行われる事になったのだが、場所は何故かレイドワーク領土なのだ。
おかげで私はレイドワーク領土での準備に奔走している。

しかも何と!料理はマユの世界にあるものを元として新しく作るという事になり、料理人だけでなく人間獣人関係なく料理が出来る人達が集まり、試行錯誤を繰り返している。
隣には変わらずディル様が居て、両親も兄も嬉しそうな複雑そうな表情で微笑んでいたりすると、見事外堀を埋められている気がしないではないが、正直一緒にいるのが当たり前というか落ち着くというか、これが自然体な気がしている。
きっと空気のように存在するのが当たり前で、でも居なくなると困るのだろう。まぁ空気の場合だと生きる事ができなくなるが…それもあながち間違いではないのかもしれない。

「アリシア~!」

この声はマユだ、竜の影が大地を覆っているのが分かる。
近くの広場に降り立ち、マユがこちらへ駆けてくる。
手に大きな箱を持って。

「見て見て見て~!これ婚姻式でアリシアが着るドレス!」

そう言って見せたのは、純白のドレスだ。
私は思わずマユの顔を二度見する。

「…マユ?竜王様夫妻とラルド様夫妻の婚姻式は、どちらもマユの世界流にするという話で、花嫁が純白のドレスを来るのよね?花嫁花婿以外、白は駄目なのよね?」

なのに何故、私のドレスが純白なのだろう?

「だってアリシア花嫁だし」
「待って、話が理解できない」
「どういう事だ?」

マユの言葉に私だけでなくディル様も理解できていないようだ。良かった私だけじゃなくて。

「なんと!三組の結婚式をするのです!」
「ディルとアリシアな」
「~~~~!!!!!???」

マユと竜王様の意見に、思わず声の出ない叫び声を上げてしまった。
聞いてない!聞いてない!!
そもそも当人の意思はどうなった!?
私とディル様の関係って、そもそも恋人でも婚約者でもないし、そういうの全部飛ばして結婚!?
マユの思考回路が理解できない…と私が呟けば、隣でディル様が今の準備じゃ足りない…と呟いていた。

え?そっちですか?
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