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46.助け合う関係

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王妃様は母と馬車の中で、アズール国とルフィル国の違いなどについて話していたそうだ。
母の目から見てルフィル国は一昔前の街並みのようだったと。
出来ない事が多い人間は利便性を求めて、考え模索して発明をしていったが、獣人達は種族によって器用さが違うという点があるものの、助け合えば特に不便さもなく暮らしてきていたのだろうと。

「ただ…組織的なものは結構アズール国に似ているところもあったわね」

母が首をかしげながら言うと、竜王様が頷いていた。

「実はラルドが色々立ち回ってくれたんだ」
「だからレイの側近という立場を獲得しているんだけどね」

竜王様の言葉にディル様が補足を加えた。
ラルド様はルフィル国にたどり着いたものの、人間に何が出来るんだと言われ、実際に獣人のように動く事は出来なかった為、知恵で立ち回っていたそうだ。
それを周囲の獣人達は面白いものを見るように、ラルドの言葉に耳を貸し、試し、成長していったと。
国政という面でも基盤を整える意味で竜王様の側近となり、地盤を整え、適材適所の獣人を置き、更に効率を良くしていったそうだ。

「ラルド…あなた…優秀だったのね?」

驚いたように王妃様は言う。何故か疑問形で。

「獣人は頭も柔軟で新しいものでも良いと分かればすぐに受け入れるんですよ。理屈ばかりな人間と違って」
「きっとカイルなら何も考えてないから素直に受け入れるわ」

あくまでも獣人至上主義の言葉で返すラルド様に、母はカイル兄の思考回路を述べた。

「人間が獣人がというよりは、きっと性格だろうな」
「あとは育った環境もじゃないか」

ディル様と竜王様も笑う。
助けられてばかりで、支え合い協力しあう体制は大丈夫なのか不安になっていたが、ラルド様のおかげで大丈夫そうで安心した。
一方的な関係は、どこかで必ず綻びが出る。

「ちなみに、畑の手伝いとかも気にしなくて良いぞ。土地が違うと土も違えば育てやすい作物も違うと聞いて楽しんでいる」
「言うなれば、生肉や焼くだけの肉、生野菜を食べているような生活から料理というものを知って、領地で出来上がる料理を楽しみにしてますから、運ぶ事くらいしますよ」
「一部不満を持っていた奴等も聖女の周りにいる精霊に度肝を抜かれてたしな。人間にも凄い奴がいると」
「興味が無さそうな奴等も、アズール国で起こった事を聞くと、人間って面白いなって興味持ち出したし」

竜王様とディル様が淡々と色々な暴露をしているが、最後どうかと思える。
ちなみにそれを聞いていた母が獣人達により楽しんでもらう為、今回の事を本や劇にする予定だと教えてくれた。
それ、人間の王は愚かだと大々的に広める事になるのではと思ったが、ラルド様の過去の実績もあるし、きっとラルド様ならば何とかするでしょう。
愚者達と血のつながりはあるけれど。
頑張れ、ラルド様。
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