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36.消えたマユ

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「マユ?マユ!!」

翌朝、やはりマユの姿は見えず、昨晩から部屋にすら戻っていないようだ。
周囲の者達も、昨夜からマユの姿を見て居ないという。

「精霊達に聞いても答えない…それに数も減って居る…何が…」

ディル様も一緒に探してくれているが、精霊達がマユの事に関して教えてくれないのも不思議だったし、何より精霊の数が減って居るのだ。
多くはマユについてきていた精霊だ。
というと、マユは今ルフィル国に…いや、少なくともこの王城に居ないという事になるのでは?と、焦る。
マユが誰かに何かをされるという事もないだろうし、むしろ獣人たちであれば手を出そうと思わないだろう。精霊を恐れて。
じゃあマユが自ら?でも理由は?全く心当たりがない。

「落ち着け~!」

焦っていると、呑気な竜王様の声が聞こえた。

「何でそんなに落ち着いていられるんですか?竜王様、何か知ってます?」
「あぁ…とりあえず皆を集めろ。説明する」
「俺は何も聞いてないぞ?」
「あっっつぅうううう!!!!????」

ディル様も知らされていなかった事なのだろう。
少し拗ねたディル様が問答無用で竜王様に火柱をあげた。





「…じゃあ、それはマユが望んだことだと?」

広い部屋に集まったのは、マユを除いたいつもの人数で。
父、母、カイン兄、セイン兄、ラルド様、ディル様、そして唯一全てを知って居る竜王様。

「あぁ、俺はマユの願いを叶えようと思った」

沈黙が走る。
マユの気持ちに寄り添いたいと思っていても、それは難しい話なのだ。
そう、たった一人いきなり異世界に来た。
そんなのは誰も経験がなく、想像するも難しい。
何より異世界というものも、マユから聞いて知るだけで、向こうの生活はこちらの生活とは全く違い、驚かされる事ばかりなのだ。

「だから、俺はマユが全て終わらせた後、事が順調に進むように準備したい」

竜王様が真っ直ぐな視線で私達を見つめ、頭を下げる。
命令ではない、お願いなのだろう。

「協力するのは当たり前です。私はマユの親友なのですから」

私は、そう答えた。
マユを支えたいのは私も同じ。
マユを助けたいのは私も同じ。
周りに居た人達も全員頷く。
ラルド様だけは「それが竜王様の望みであれば」なんて一言がついていたけれど。
あの人は本当、そういう意味でしっかり芯を持っているなと思った。

「あ、じゃあラルドにお願いがあるんだけど!」
「はぁああああああ~~~~~~~!!!!???????」

竜王様のお願いの内容に、ラルド様の絶叫が響いた。
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