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24.問答無用
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砂埃をあげて馬が二頭、とても馬と思えない速度で駆け抜けて行く。
実際、この馬は見た目こそ馬だが、レイドワーク領土にて隠れて行った、馬と魔獣を組み合わせた生き物なため、馬以上の速度と持久力を持つが、それでもその生き物はそれ以上のスピードを出そうと必死になっていた。
走らなければ、殺される———
なぜならば、乗っている人物が何よりも危険人物だとしか思えないからだ。
「殺す殺す殺す殺す殺す」
「ふふ………ふふふふ……………」
壮絶な殺気を放ちブツブツと呟く二人の目は座っており、目の前に逃げ遅れた魔獣が居たかと思うと一瞬にして真っ二つに切り裂かれている。
この殺気を感じてまで立ちはだかろうとする魔獣は馬鹿か殺気を感じることすら出来ない弱い魔獣しか居ない。
自分達も気を失いそうな殺気に当てられつつ、目の前で飛び散る鮮血を見ては無我夢中に駆け抜けるのだ。
「凄い殺気ですね」
「人間だ」
そんな声が聞こえたかと思うと、上から金青髪の青年が降り立った瞬間、問答無用で切り捨てようとする男を、もう片方の男が止める。
「誰だ」
「私はルフィル国竜王の側近………」
ガキィイイイイイイン!!!
ラルドが言い終わらないうちに、青年二人は容赦なく剣で切り捨てようとし、それをラルドが受け止める。
「これが噂のレイドワーク子息の剣ですか…重いですね」
「ちっ受け止めたか」
「僕らのことをご存知のようですねぇ?」
剣を受け止められた為、体制を整えようとラルドから離れ馬から飛び降りる。
「何をやっている!」
ラルドの後ろに黒龍が降り立ち、言葉を放ったところを見ると、竜王であると想像がつく。
俺こっちな、と一人が呟いて竜王に剣を向けると、もう一人はそのままラルドに剣を向けて睨みつける。
「噂のレイドワーク令息と手合わせですか!楽しみですね」
「止めろー!」
竜王が止めるが、ラルドはものすごく楽しそうに目を光らせ剣をかまえる。
どうしようか竜王が思案していると、ディルの気配が近くなる。
魔力の違いか種族の違いか、空を飛ぶ竜であるレイの方が早かったのだ。
「何やってるんですか!?」
兄二人とレイドが剣を構えてるのを見て、アリシアが声をあげ、ディルから降りる。
「アリシア!!!!」
「無事か!!!」
二人はアリシアを見ると、こちらに目を向けることもなく瞬時に走り向かう……が、何かが落ちたのを把握すると、すぐに竜王はラルドを羽でくるみ覆った。
ドォオオオオオーーーーン!!!!!!
爆発音と、それに飲まれる竜王とラルド様
「お兄様!?」
「アリシア~!良かった~!会えたな!」
「無事なようで何よりだ」
驚くアリシアをよそに、何事もなかったように笑顔を振りまく兄二人は、心から妹との再会を喜んでいるようだ。
その横で呆然としているディルとマユは、その存在すら目に入っていないようだ。
「やはりレイドワークは面白いですね」
「…俺が竜の姿じゃなかったら、お前木っ端微塵だからな」
こちらも楽しそうに笑うラルドに、珍しく竜王がため息をついた。
実際、この馬は見た目こそ馬だが、レイドワーク領土にて隠れて行った、馬と魔獣を組み合わせた生き物なため、馬以上の速度と持久力を持つが、それでもその生き物はそれ以上のスピードを出そうと必死になっていた。
走らなければ、殺される———
なぜならば、乗っている人物が何よりも危険人物だとしか思えないからだ。
「殺す殺す殺す殺す殺す」
「ふふ………ふふふふ……………」
壮絶な殺気を放ちブツブツと呟く二人の目は座っており、目の前に逃げ遅れた魔獣が居たかと思うと一瞬にして真っ二つに切り裂かれている。
この殺気を感じてまで立ちはだかろうとする魔獣は馬鹿か殺気を感じることすら出来ない弱い魔獣しか居ない。
自分達も気を失いそうな殺気に当てられつつ、目の前で飛び散る鮮血を見ては無我夢中に駆け抜けるのだ。
「凄い殺気ですね」
「人間だ」
そんな声が聞こえたかと思うと、上から金青髪の青年が降り立った瞬間、問答無用で切り捨てようとする男を、もう片方の男が止める。
「誰だ」
「私はルフィル国竜王の側近………」
ガキィイイイイイイン!!!
ラルドが言い終わらないうちに、青年二人は容赦なく剣で切り捨てようとし、それをラルドが受け止める。
「これが噂のレイドワーク子息の剣ですか…重いですね」
「ちっ受け止めたか」
「僕らのことをご存知のようですねぇ?」
剣を受け止められた為、体制を整えようとラルドから離れ馬から飛び降りる。
「何をやっている!」
ラルドの後ろに黒龍が降り立ち、言葉を放ったところを見ると、竜王であると想像がつく。
俺こっちな、と一人が呟いて竜王に剣を向けると、もう一人はそのままラルドに剣を向けて睨みつける。
「噂のレイドワーク令息と手合わせですか!楽しみですね」
「止めろー!」
竜王が止めるが、ラルドはものすごく楽しそうに目を光らせ剣をかまえる。
どうしようか竜王が思案していると、ディルの気配が近くなる。
魔力の違いか種族の違いか、空を飛ぶ竜であるレイの方が早かったのだ。
「何やってるんですか!?」
兄二人とレイドが剣を構えてるのを見て、アリシアが声をあげ、ディルから降りる。
「アリシア!!!!」
「無事か!!!」
二人はアリシアを見ると、こちらに目を向けることもなく瞬時に走り向かう……が、何かが落ちたのを把握すると、すぐに竜王はラルドを羽でくるみ覆った。
ドォオオオオオーーーーン!!!!!!
爆発音と、それに飲まれる竜王とラルド様
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「アリシア~!良かった~!会えたな!」
「無事なようで何よりだ」
驚くアリシアをよそに、何事もなかったように笑顔を振りまく兄二人は、心から妹との再会を喜んでいるようだ。
その横で呆然としているディルとマユは、その存在すら目に入っていないようだ。
「やはりレイドワークは面白いですね」
「…俺が竜の姿じゃなかったら、お前木っ端微塵だからな」
こちらも楽しそうに笑うラルドに、珍しく竜王がため息をついた。
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