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17.聖女の望む自由

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マユから貰った情報を元に、私が追放されたあとは私のことは自分で何とか逃げることを前提にし、両親や兄達は王家に捕まる前に領地へと逃げる計画になっていた。
何かと利用されるつもりもないし、何より領地民の生活を守ることを最優先に考えたのだ。
まさか迷いの森に縛られて捨てられた挙句、馬車に火を放つという徹底ぶりだったわけだけれど。
…生きてて良かった。

「レイドワークの人たちに協力を求めて、私の平凡で穏やかかつ自由で幸せな生活を手に入れるために頑張ろうよ!」
「いや、愛し子である限り、ある程度の束縛は必要だと思うし、知識も必要となるだろうが」
「だから!自由に学んで、自由に人と話すという、平凡かつ穏やかな幸せと自由が欲しい!」

竜王様が少し嗜めるように言った後、返ってきたマユの言葉に目を見開いた。

「…………アズール国で一体どんな生活を…………………?」

想像もつかないのか、何とか言葉を出した竜王様に対し、マユは鬱憤をはらすかのように今までの対応を息つく間もなく話し出したので、私は昼食…というより簡単につまめる軽食の用意を頼む。
そろそろお昼の時間になるのだ。
きっと今を逃すと夕食の時間までノンストップになりそうなほど、マユの苦悩が溜まっているのは知っている。

◇◆◇◆◇

「っというわけで!人間の尊厳はなく、ペットのような扱いでした!私の意思はそこにない!」

竜王様とディル様は額に手をあてう項垂れている。
サンドイッチをつまみながら話を聞いていたが、途中から呆然となった後、項垂れたままの状態となりマユの話は終わった。

「人間とは……ここまで言葉が通じないのか?」
「人間はいつの間にそこまで退化したんだ」
「人間と一緒にしないでください」
「すいません、人間にもペットにも失礼でした。あれは塵芥です。」

竜王様とディル様の呟きに、私とマユが返事をする。

「なるほどなぁ…保護すると言っても、話し合いの解決はまず無理だろう。レイドワークの領地が独立するというのならば、そこも含め植民地化した方が良さそうだな」

そう竜王様が呟いた時、ふと気になったことがあり問いかけた。

「そういえばアズール国の成り立ちから、精霊が多く住むとのことですが、その事に関しては問題が起きることはないのでしょうか?」

精霊が見える訳でもないし、実際精霊によりどんな状態になろうと人間である私には想像もつかない。

「大丈夫だろう。そもそも、もうあちらの王族に民衆は着いて行かない。勝手に廃れていく。そこを狙うだけで戦争を起こす気もこちらにはない。向こうが起こそうと言うならレイドワーク領土になるだろうしな。」
「必要であれば精霊達には避難するよう私が言うよ~!」
「愛し子マユ、感謝する」
「………その愛し子マユって呼び方、なんとかならない?」

不機嫌丸出しの表情をしたマユに戸惑うが、マユ自身が異世界で様付けされるような生活ではなかったことで、礼儀作法が苦手な竜王様は喜んでマユと呼ぶようになったのを横目に、ディル様は盛大なため息を吐いていた。
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