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14.再会
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今いる部屋は3階だという認識がある。
しかし声は明らかにベランダから聞こえた。
そちらに目を向けると、私のよく知る親友とも言える人物が嬉しそうに窓にへばりついているのが見える。
「アリシア!追いついた!開けて!!」
うん。間違いなくマユだと思う。
私は慌ててベランダに駆け寄り、窓を開ける
「マユ!?なんでここに?」
「アリシアを追いかけてきたの!」
開けた窓から部屋に入ると、再開を喜ぶように抱きしめられる。
「噂の聖女様か…」
「マユ・ミヤノです。聖女様は語弊では?」
「あぁ、そうですね。愛し子様。私はフェンリルのディルです」
ディルとマユのやり取りで、気になった事があるので、口を挟む
「語弊?愛し子って?」
「あー!そうだね、アリシアには、そこから説明しないと!それからレイドワーク一族の計画を相談だね!」
マユが満面の笑みで言うが、その言い方だとレイドワーク一族の計画を知ってそうなのだけど…
あえて突っ込む必要もないかと思う。
だってマユだし。
「そしてこちらとも相談ですね…ん?レイ?」
今まで黙ったままの竜王様に気がつき、ディル様が声をかける。
そこには口を開け、惚けた状態でマユを見つめる竜王様が…
「…レイ?」
「…すごい…」
ディルの声に、呆然と呟くような声を出す竜王様。
「こんなに精霊が!美しい!愛し子とはここまでなのか!…あつ!」
と思ったら、急に興奮状態に陥る竜王様に問答無用で炎を浴びせたディル様。
放っておいたら、そのままマユの近くに行って踊り出しそうな感じもしたからだと思うけれど…
相変わらず容赦がないな。
「落ち着きましょうか?ね?」
「漫才か」
いつもの微笑みに黒いオーラが見えそうな気がするけど、本当この二人のやり取りは気にしたら終わりだと思うし、また新たなマユ語が飛び出した。
「漫才って?」
「ん~と…人を笑わせる職業についた人たちのやり取り…みたいな感じかな?」
「笑わせる………」
むしろ私としては引きつってる感があるんだけど、マユとしては笑える状態なのか、そうなのか。
そして決して笑わせる為にやってるわけではないだろう二人も、マユの声が聞こえたのか、表情を引きつらせている。
国王ともあろう人と、その側にいる人が、あろうことか人を笑わせる職業と例えられたのだ。
…まぁ多少、国王というものに自覚を持って欲しいところはあるけれど、いかんせんここは獣人の国だから、人間の定義からは外れるだろうけれど…
大人しくなった二人を尻目に、マユのお茶を用意する準備を始めた。
しかし声は明らかにベランダから聞こえた。
そちらに目を向けると、私のよく知る親友とも言える人物が嬉しそうに窓にへばりついているのが見える。
「アリシア!追いついた!開けて!!」
うん。間違いなくマユだと思う。
私は慌ててベランダに駆け寄り、窓を開ける
「マユ!?なんでここに?」
「アリシアを追いかけてきたの!」
開けた窓から部屋に入ると、再開を喜ぶように抱きしめられる。
「噂の聖女様か…」
「マユ・ミヤノです。聖女様は語弊では?」
「あぁ、そうですね。愛し子様。私はフェンリルのディルです」
ディルとマユのやり取りで、気になった事があるので、口を挟む
「語弊?愛し子って?」
「あー!そうだね、アリシアには、そこから説明しないと!それからレイドワーク一族の計画を相談だね!」
マユが満面の笑みで言うが、その言い方だとレイドワーク一族の計画を知ってそうなのだけど…
あえて突っ込む必要もないかと思う。
だってマユだし。
「そしてこちらとも相談ですね…ん?レイ?」
今まで黙ったままの竜王様に気がつき、ディル様が声をかける。
そこには口を開け、惚けた状態でマユを見つめる竜王様が…
「…レイ?」
「…すごい…」
ディルの声に、呆然と呟くような声を出す竜王様。
「こんなに精霊が!美しい!愛し子とはここまでなのか!…あつ!」
と思ったら、急に興奮状態に陥る竜王様に問答無用で炎を浴びせたディル様。
放っておいたら、そのままマユの近くに行って踊り出しそうな感じもしたからだと思うけれど…
相変わらず容赦がないな。
「落ち着きましょうか?ね?」
「漫才か」
いつもの微笑みに黒いオーラが見えそうな気がするけど、本当この二人のやり取りは気にしたら終わりだと思うし、また新たなマユ語が飛び出した。
「漫才って?」
「ん~と…人を笑わせる職業についた人たちのやり取り…みたいな感じかな?」
「笑わせる………」
むしろ私としては引きつってる感があるんだけど、マユとしては笑える状態なのか、そうなのか。
そして決して笑わせる為にやってるわけではないだろう二人も、マユの声が聞こえたのか、表情を引きつらせている。
国王ともあろう人と、その側にいる人が、あろうことか人を笑わせる職業と例えられたのだ。
…まぁ多少、国王というものに自覚を持って欲しいところはあるけれど、いかんせんここは獣人の国だから、人間の定義からは外れるだろうけれど…
大人しくなった二人を尻目に、マユのお茶を用意する準備を始めた。
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