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5.ストーカー王子
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「アリシア!ちょっと聞いて!ヤバイのよ!」
今日は、この世界の料理がイマイチ…と悲しそうな顔をしているマユのために、マユの話を聞いて料理人と試行錯誤して作ってみたハンバーガーなるものを持って、学校が終わった後に町外れの湖で会う約束をしていた。
マユは殿下をまいて、学院の壁を飛び越えてでも来る!と言っていたが、何かとても焦っている様子だ。
「どうしたの?マユ」
急ぎ足で歩み寄ってきたマユが、私に何かを握らせる。
「どうやら殿下が私と結婚したいみたいで、影で何か動いてる。アリシアが邪魔だとか、追放するとか」
「うわぁ、嬉しい!悪役令嬢、婚約破棄で追放!」
「嬉しくないわ!私はアリシアと離れたくない!」
必死な様子でマユは叫ぶ。
「というか、民意もあるから私との結婚だったはずだけど…まぁ相手が聖女だったら民意も大丈夫だしねー」
「私は嫌よ。ストーカーと結婚なんて。私が逆断罪?極刑レベルじゃない」
「それにしても行動がアホすぎて私には読めないわ。何を起こすのか」
「ストーカーの行動が読めたら、アリシアもストーカーの素質あるわよ」
やれやれと言ったマユを横目に、草原の上にひいてあるシートの上にハンバーガーと紅茶を用意した。
調味料から色々調べてみたり、肉を細かくしたり、色々試行錯誤をしたものだ。
やったぁ!とマユが目を輝かせる。
「とりあえず気をつけててよね。アリシアに何かあったら、私が嫌よ。職権乱用って出来ないかしら」
後半、何か恐ろしい事を呟いていたマユだが、ハンバーガーを食べようとした瞬間…
「マユ!危ない!!!」
叫び声と共に駆けてくる足音。
声の主を視界に入れた時には、マユの手からハンバーガーが叩き落とされていた。
「私のハンバーガー!!!!!!!」
マユの絶叫が聞こえる。
あぁ…頑張って作ったのに…
そして叩き落とした本人は、マユの絶叫が聞こえていないかのようにこちらを睨みつけてきた。
「貴様!マユになに得体の知れないものを渡している!どうせ毒でも盛っているんだろう!」
「どうして私がそんなことをする必要がありますか」
「私がマユにばかり構っているから嫉妬でもしているんだろう!」
思考回路斜め上、ストーカー王子の登場だ。
私も嫌々婚約したという事を頭の片隅にも置いていないのだろう、どうしてそこまで自分が好かれていると思えるのか。
「行こう、マユ」
「ちょっと!離してよ!」
「照れてるのか?大丈夫だ、私はマユが好きだし、ちゃんと守るから」
ストーカーからまず守られたいわ。
とマユの心が言っていそうだな、と思う。
男の力には叶わず、そのままマユは連行されていった…
ふと、マユに握らされた物に目を向ける。
紙切れが小さく折りたたまれていて、それを開くと、たどたどしい文字でこう書いてあった。
アリシア 問題 逃げる
私 行く
待つ 信じる
心が温かくなった。
問題が起こった時に、逃げろという事だろう
そしてマユは追いかけてくるつもりなのかな?
待ってて、信じて、と言いたいのか。
聖女がマユで…ううん、マユと出会えたことに感謝した。
今日は、この世界の料理がイマイチ…と悲しそうな顔をしているマユのために、マユの話を聞いて料理人と試行錯誤して作ってみたハンバーガーなるものを持って、学校が終わった後に町外れの湖で会う約束をしていた。
マユは殿下をまいて、学院の壁を飛び越えてでも来る!と言っていたが、何かとても焦っている様子だ。
「どうしたの?マユ」
急ぎ足で歩み寄ってきたマユが、私に何かを握らせる。
「どうやら殿下が私と結婚したいみたいで、影で何か動いてる。アリシアが邪魔だとか、追放するとか」
「うわぁ、嬉しい!悪役令嬢、婚約破棄で追放!」
「嬉しくないわ!私はアリシアと離れたくない!」
必死な様子でマユは叫ぶ。
「というか、民意もあるから私との結婚だったはずだけど…まぁ相手が聖女だったら民意も大丈夫だしねー」
「私は嫌よ。ストーカーと結婚なんて。私が逆断罪?極刑レベルじゃない」
「それにしても行動がアホすぎて私には読めないわ。何を起こすのか」
「ストーカーの行動が読めたら、アリシアもストーカーの素質あるわよ」
やれやれと言ったマユを横目に、草原の上にひいてあるシートの上にハンバーガーと紅茶を用意した。
調味料から色々調べてみたり、肉を細かくしたり、色々試行錯誤をしたものだ。
やったぁ!とマユが目を輝かせる。
「とりあえず気をつけててよね。アリシアに何かあったら、私が嫌よ。職権乱用って出来ないかしら」
後半、何か恐ろしい事を呟いていたマユだが、ハンバーガーを食べようとした瞬間…
「マユ!危ない!!!」
叫び声と共に駆けてくる足音。
声の主を視界に入れた時には、マユの手からハンバーガーが叩き落とされていた。
「私のハンバーガー!!!!!!!」
マユの絶叫が聞こえる。
あぁ…頑張って作ったのに…
そして叩き落とした本人は、マユの絶叫が聞こえていないかのようにこちらを睨みつけてきた。
「貴様!マユになに得体の知れないものを渡している!どうせ毒でも盛っているんだろう!」
「どうして私がそんなことをする必要がありますか」
「私がマユにばかり構っているから嫉妬でもしているんだろう!」
思考回路斜め上、ストーカー王子の登場だ。
私も嫌々婚約したという事を頭の片隅にも置いていないのだろう、どうしてそこまで自分が好かれていると思えるのか。
「行こう、マユ」
「ちょっと!離してよ!」
「照れてるのか?大丈夫だ、私はマユが好きだし、ちゃんと守るから」
ストーカーからまず守られたいわ。
とマユの心が言っていそうだな、と思う。
男の力には叶わず、そのままマユは連行されていった…
ふと、マユに握らされた物に目を向ける。
紙切れが小さく折りたたまれていて、それを開くと、たどたどしい文字でこう書いてあった。
アリシア 問題 逃げる
私 行く
待つ 信じる
心が温かくなった。
問題が起こった時に、逃げろという事だろう
そしてマユは追いかけてくるつもりなのかな?
待ってて、信じて、と言いたいのか。
聖女がマユで…ううん、マユと出会えたことに感謝した。
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