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3.聖女は木の上に
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学院の昼休み、人があまり来ない裏庭の木陰で一人食後のティータイム。
なんだかんだとレイドワーク辺境伯という肩書きはそれなりに有名で、更に殿下の婚約者ともくれば、令嬢が御機嫌伺いに来たりするのだが、私はそういうのに一切興味がない。
横の繋がりだの、派閥だの、面倒くさいし、必要性を感じないのだ。
そんな労力をさくほど、殿下に対して尊敬もしていない。
むしろ欠片も人と思っていない。
「レイドワーク様?アリシア様?嬢?」
小さな声、疑問形満載で呼びかけられ声の主を探すも、見当たらない。
「ごめんなさい、頭上から失礼します。私、宮野真由と…あ、マユ・ミヤノと言います」
ふと頭上を見上げたらグラデーションの髪に黒目の少女が木の枝に座ってこちらを見ている。
私がジッと見つめ口を開こうとしたところで、マユから制止の声が入る。
「無礼なのは承知ですが、殿下から逃げてきたのです!バレないようにお願いします!目線は前!」
小声で叫ぶように言う。器用だ。
しかし逃げてきたとは…しかも木の上。
まぁ、それならと背を木に預け、紅茶を飲みながら話をする。
「えーと…ミヤノ様?どうされましたか?」
「マユでお願いします。マナーとかよく分からなくて。えっと…どうお呼びすれば失礼ではないのですか?」
なるほど、異世界から来られた方ですからね。
こちらの世界のマナーは分からなくて当然ですね。
「アリシアで良いです。と言われても、呼び捨ては周囲の目に良くうつりませんから敬称をつけるのが良いですよ。なので私はマユ様とお呼びしますね。」
「ありがとうございます、アリシア様。実はハイルド殿下の事でお話がありま…」
「聞きたくありません」
遮るように声を被せた。
マナー?何それ知りません。
「いやいやいや、婚約者ですよね!?」
「ものすごく、とてつもなく、これでもかって言うほど不本意ながら、王命により。」
聖女に言うべき言葉じゃないとしても、とりあえず真っ向から否定。
何を私に言いたいのか分からないし、まず本心をぶつけておく。
「あー……」
マユ様の諦めたような声が聞こえる。
「付きまとわれて…鬱陶しかったから……どうにかして欲しいと思っ」
「無理です」
マユ様の願いを一刀両断。
殿下が私の話を聞いたことなんて、一度もない。
がっくり肩を落としたマユ様は、何かを呟いている。
「いやいや、そもそも異世界転生って何なのよ。しかも聖女とか。まさかのヒロインポジ?と思ったけどアリシア様は悪役令嬢っぽくないし。やっぱこれヒロインが逆断罪コース?いやいやいや、あんな王子いらないし困る。私は自由に生きたいし。どうあがいてもあんなん王子って思えない馬鹿だし。だいたい堅苦しいのよマナーとか。」
「マナーが堅苦しいには同意ですわ」
殿下に対する不敬(事実)はスルーして放った私の言葉に、目を見開いて見つめたあと、マユ様はこう言った。
「お友達になってください!!!!!」
なんだかんだとレイドワーク辺境伯という肩書きはそれなりに有名で、更に殿下の婚約者ともくれば、令嬢が御機嫌伺いに来たりするのだが、私はそういうのに一切興味がない。
横の繋がりだの、派閥だの、面倒くさいし、必要性を感じないのだ。
そんな労力をさくほど、殿下に対して尊敬もしていない。
むしろ欠片も人と思っていない。
「レイドワーク様?アリシア様?嬢?」
小さな声、疑問形満載で呼びかけられ声の主を探すも、見当たらない。
「ごめんなさい、頭上から失礼します。私、宮野真由と…あ、マユ・ミヤノと言います」
ふと頭上を見上げたらグラデーションの髪に黒目の少女が木の枝に座ってこちらを見ている。
私がジッと見つめ口を開こうとしたところで、マユから制止の声が入る。
「無礼なのは承知ですが、殿下から逃げてきたのです!バレないようにお願いします!目線は前!」
小声で叫ぶように言う。器用だ。
しかし逃げてきたとは…しかも木の上。
まぁ、それならと背を木に預け、紅茶を飲みながら話をする。
「えーと…ミヤノ様?どうされましたか?」
「マユでお願いします。マナーとかよく分からなくて。えっと…どうお呼びすれば失礼ではないのですか?」
なるほど、異世界から来られた方ですからね。
こちらの世界のマナーは分からなくて当然ですね。
「アリシアで良いです。と言われても、呼び捨ては周囲の目に良くうつりませんから敬称をつけるのが良いですよ。なので私はマユ様とお呼びしますね。」
「ありがとうございます、アリシア様。実はハイルド殿下の事でお話がありま…」
「聞きたくありません」
遮るように声を被せた。
マナー?何それ知りません。
「いやいやいや、婚約者ですよね!?」
「ものすごく、とてつもなく、これでもかって言うほど不本意ながら、王命により。」
聖女に言うべき言葉じゃないとしても、とりあえず真っ向から否定。
何を私に言いたいのか分からないし、まず本心をぶつけておく。
「あー……」
マユ様の諦めたような声が聞こえる。
「付きまとわれて…鬱陶しかったから……どうにかして欲しいと思っ」
「無理です」
マユ様の願いを一刀両断。
殿下が私の話を聞いたことなんて、一度もない。
がっくり肩を落としたマユ様は、何かを呟いている。
「いやいや、そもそも異世界転生って何なのよ。しかも聖女とか。まさかのヒロインポジ?と思ったけどアリシア様は悪役令嬢っぽくないし。やっぱこれヒロインが逆断罪コース?いやいやいや、あんな王子いらないし困る。私は自由に生きたいし。どうあがいてもあんなん王子って思えない馬鹿だし。だいたい堅苦しいのよマナーとか。」
「マナーが堅苦しいには同意ですわ」
殿下に対する不敬(事実)はスルーして放った私の言葉に、目を見開いて見つめたあと、マユ様はこう言った。
「お友達になってください!!!!!」
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