ベティーブルー

ベティーブルー

べディーブルー 1

　送られてきていたオートロックの番号を押して中に入った。玄関のチャイムを押すと懐かしい顔がのぞいた。

　「入って」
　一年以上会っていなかったにもかかわらず、再会は随分と淡白であった。部屋の中はだいぶ散らかっている。1Kの部屋の真ん中にはガラステーブルが配置されていて、テーブルの上も限りなく散らかっていた。テーブルを守るように配置されたソファーに腰掛ける。

「あおちゃん久しぶり。呼ばれて来ちゃうあたりかわいい」

「行くか迷ったけど」

　久しぶりに会ううららくんは何も変わっていなかった。テーブルの上から必要なものを手に取って立ち上がる。

「ロフト行こう。」

うららくんはそう言ってロフトに上がって行った。ロフトには充電器はあるのだろうか？

「あるから使っていいよ」

　ロフトに移動し、うららくんの隣に座る。
　目の前には必要な道具が並んでいる。

　「ライター忘れた。取ってくる。」

　ロフトを降りようとするうららくんにポケットから取り出したライターを渡した。

　うららくんの好きな音楽が流れている。少し開いた小窓からは初夏の日差しが差し込み、子どもの声が聞こえてくる。

　一年ぶりの体験は頭を大きく揺さぶった。
　鏡のように滑らかな心地よさの湖には、小さな不穏な淀みが生まれ、それはあっという間に不安定さを生み出した。

　心地よく抱き合っていたうららくんから離れ、1人で横になる。それでも抱こうとするうららくんにごめん無理だと伝えた。

「大丈夫。まだバッドはいってないから。」

背中をさするうららくんの手が吐き気を増長させている気がして怖い。

開いた窓から流れ込む風が肌を刺す。




吐いた。




「ごめん。俺らのペースだときついよな」

　うららくんは口で謝るだけだった。うららくんの体に取り込まれたいろいろな物はうららくんのブレーキを壊していた。

何度も吐いて、不安定さの波の中でのたうち回り縋るあおをうららくんは抱いた。


うららくん、うららくんと縋りつく姿は最後に会った時と変わらず加虐心を刺激してくる。


もっと。
もっと縋って欲しい。苦しんで欲しい。



力が抜けたあおの細い身体を壊れそうなくらいに力を込めて扱う。

あおもそれを望んでいた。身体が示していた。






ひとしきり終わり、吐くことすらしなくなったあおはぐったりと横になり、縋りもしなくなった。

使い終わったあおの身体を転がしておいて、自分も離れたところで横になった


あおが来る少し前に食べたものが効果を発揮し、意識は突然ぷっつりと切れた。