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1-6ルーチェ失語す、自業自得なり
しおりを挟むさてと、1時間生地を寝かせ終わり生地をドーナツの円状に整え 中心に穴を開ける。
「ルーチェ、それからどうするの?すぐに揚げるの?」
「ええ、それと…なんで抱きついてんねん!やりにくくてかなわんわ!! はなれぇ!」
「やだ」
ヤダじゃねぇよ、血管が浮き出ながらも油の温度が揚げるのにちょうどいい温度になったと同時に私はドーナツを揚げ始める
そして部屋中に香ばしい香りが広がり全てのドーナツを揚げ終え私は1つのドーナツをアレンに差し出す。
「ん!」
「くれるの?」
「ん! 冷めるから まあ、冷めても美味しいけど」
どこかのアニメ映画のような感じの渡し方で無理やり押し付けた。
「…どうやって食べるの? 丸かじり?」
「他にどないな食べ方があるんじゃい」
皮肉を言いながら私は1つを味見としてドーナツを頬張る。
そしてアレンもつられてドーナツをパクリ、と食べた瞬間アレンは目を丸くしてそのまま固まっている。
初めて食べるドーナツに感動しているのかしばらくしてハッとした後でまた1口また1口と食べ始めあっと今に渡したドーナツをペロリと完食したのだった。
「……あなたが神か…」
「いいえ人間です。」
何言ってんだこいつと思いつつ少し納得する。
そっかこの世界の人間はドーナツを初めて食べるからそういう反応になるのね、なるほどそうなるとドーナツの他に期間限定でドーナツ以外のスィーツを試し売りにして飲食店に取り入れたいという店があればレシピを教える手もあるわね。
「とりあえず店をオープンするのは3週間後にするわ色々準備だってあるんだもの」
「え?そんなにかかるの? すぐにでも出してもいいと思うけど…まあ、そうだよね準備期間も必要だしせんでもんあるもんね、あ!そうだ 宣伝はディズース商会でも宣伝しようか?」
ディズース商会の宣伝なら確実だこの並に乗らない訳には行かない、この男の手を借りるのは癪だけど…。
宣伝しても客が来ないよりかはマシだ。
「じゃあよろしくねアレン君」
「やった! 名前で呼ばれた! 僕のことを受け入れてくれたということだよね!ね!」
ずいっと近づいてくるこの男に少しだけ「ウザ」と思いすぐさま言い方を変えた。
「ディズースさんよろしくお願いしますね」
「他人行儀は嫌だァァァァァ!!」
なんかこの男が嬉しそうな顔するのがなんか癪に障った、いや別に大嫌いってわけじゃないけどなんか行動が鬱陶しい。
でも酷い対応したら追い出される可能性も高い、適切な距離をとりつつ距離を置こう。
そしてその後で私はビラ配りの際に試食として出すドーナツを揚げ終えコピー魔法でビラを何枚か生成したのだった。
「そして、このドーナツは時間を停止させて3週間後にビラと一緒に配れば…ふふふ! あ、ディズースさんも宣伝お願いしますね!」
ディズースと呼ばれ不機嫌になるアレン……どんだけ名前で呼ばれたいのよ?
「アレン君」
「はぁい! ハニーのためなら火の中水の中どんな危険地帯でも宣伝してくるよ!」
「危ないところで宣伝しないで!?」
「僕の身を案じてそう言ってくれるんだね! 嬉しいよハニー!」
と、飛びついてきそうだったので私はアレンを浮遊魔法で止めた。
「結婚前の女性に飛びつこうなんて卑猥だわ! 最低よ!」
「そっか、そうだよね~結婚前だからまだダメだったね じゃあ結婚後は思い切り抱きしめてもいいんだよね!ね?」
しまったやぶ蛇…失語……こうなっては撤回の余地なし…やってもうた……。
私はただただ自分の愚かな行動に後悔するしか無かった。
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