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39話 異変
しおりを挟む歌虎が集落を出て直ぐに男が腕を組んで待ち構えていた。
恐らく歌虎を魅了したであろう男だ。
「来たな俺の飯が」
「……」
「しかし、今回の飯は中々の生娘じゃねえか」
男は歌虎の体をいやらしい目付きで眺めていきゆっくり体に手を伸ばすが歌虎はパシッと手を払い除ける。
「ほう? まだ抵抗する力があったか、そう来なくちゃな! 簡単に食われちゃこちらもつまんねーからな!」
歌虎は魅了の状態で意識がなくとも本能で防衛体制を取っていた。
「もーちょい、上げるかぁー」
男は指パッチンと同時に歌虎にかけてる魅了の力をさらに上げた。
「さあ、抵抗はもうできないな大人しく…………おい、避けんな(なんなんだこの女、感度も上げたっつーのにそれでも抵抗するって、普通なら出来ねえはずだぞ? )どんな神経してんだ……よ!」
男は歌虎に、殴り掛かったが歌虎はそれを意図も容易く避け木の上に飛び乗った。
「女ァ……調子こいてんじゃねえぞ…… てめぇの生気が枯れるまで吸い取ってやる」
「……」
「……チッ、気に食わねえな、魅了で意識もねえ状態で俺を嘲笑うかのように挑発する様はアイツそっくりで虫唾が走らァ……チッもう面倒だ解いた方がまだ楽に吸えるかもな!」
男は魅了を解除するため指をパチンと鳴らし、魅了は解けたが歌虎の目はまだ虚ろのまま男を見下ろしていた。
「あん?魅了解けたはずなのになんでまだ……」
「…………」
歌虎はバッと片手を出してそこから風魔法で男を攻撃し始めた。
「!っぶね!(こいつまさか他の奴にも魅了されてんのか?だとしたら俺が先にコイツの生気を吸い付くしてやる!)はん! まだフィーネも安定して間もないひよっこの小娘ごときにこの俺様がやられるかよ!」
「やりはしない、殺るんだよ【風のカマイタチ】」
恐らく歌虎の無意識下で作りだした技だろう風の刃が男に向かって攻撃されていく。
「んだぁ? そんな弱っちい風魔法避けるまでもな…… は?」
攻撃に当たったのだろう男の腕から血が大量に吹き出してきた。
「ぐわあああ!痛ぇぇ!! 俺様の腕がぁぁぁっ!!……っく、やりやがったな小娘がぁぁ!!テメェを食うのは半殺しにしてからだ!」
男は歌虎の立っている木上まで高くジャンプして爪で攻撃しようとしたが腕を捕まれ投げ飛ばされた。
「ぐぁっ!!」
「一本背負投」
「小娘……テメェいい加減に……!」
「そこまでじゃ!」
「!」
「やはりお主の仕業じゃったか、悪いことは言わん、そこの小娘に掛けた魅了を直ぐにとけ、さもなくば貴様を……」
「言っておくがなロプール、俺はとっくに魅了は解いてんだよ
「なんじゃと!?」
「俺の他にかけてるやつがいる見てえだからな俺よりもまずそっち優先しろよロプール」
「……分かった、今回はお主には────」
「バーカ!油断しすぎだぜロプール!!」
「里長危ない!!」
男は里長に爪で攻撃をしかけたが里長は男の攻撃を避けた直ぐに、女エルフが男に向かって剣で攻撃するもギリギリで避けられた。
「危ねぇ危ねぇ危うく消し炭にされるとこだった」
「おのれ! 避けるな!たたっ斬るわよ!!」
「そんなに俺が斬りたいか?」
「当たり前でしょ?! どうせまだ魅了を解いてないくせに! 私は騙されないわよ!!」
「だからもう解いたっつってんだろ物覚え悪すぎだろ」
「貴様ッ!!」
「落ち着けリザリザこやつの言うこともあながち嘘では無いかもしれん、この娘から他の……とてつもない邪悪なフィーネを感じる」
「邪悪なフィーネ!? まさかこの男以外にそんなこと出来るものがいるのですか!?」
「恐らくな」
「そんな! なんで左京山なんだよ! こういう時って勇者スキル持ってる手塚が狙われるんじゃないのか!?」
「霧島、もし知らない人間なら俺達の内の誰かに洗脳っぽいことするかもしれないけど多分やったのはクラスメイトの誰かで、左京山のポテンシャルの強さをよく知ってる人間……」
「まさか斎藤か!?」
「いや、他にあと1人知ってるとすれば……出席番号29番山吹司だと思う。」
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