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38話 エルフの集落 霧島匠サイド
しおりを挟む「もう少しよ!あともう少しで集落よ!」
「も、もう限界……!」
「見えてきたわ!みんな急いで!」
突然現れた女に突然ここから走って集落に向かうって言われ俺たちは訳が分からないまま集落に飛び込む形で入ることが出来た。
「ぜえ……ぜえ! こんなに全力疾走したのは体育祭以来……」
「左京山大丈夫?」
「……息切れしてるけど大丈夫そうではあるね」
「みんな着いてきてすぐに里長にその子を見せるから!」
俺達は左京山を支えて女の後について行き里長とやらの家に着いた。
「里長! 大変なの! 」
女が先に家の中に入って里長とやらを呼びに行ってる間に俺らは許可が降りるまで外で待機した。
「里長ってどんなやつなんだ?」
「筋骨隆々のムッキムキのおじさんだったり?」
「……んなわけ」
こんな状況なのにいつもと変わらない雑談をする俺たち、まだ余裕はあると確認はできた。
そうしてる間に女が戻ってきて「みんな入って」と言って扉を開けた。
俺達は互いに顔を見合せたあと家の中に入った。
「里長、連れてきました」
「ふむ、そこな娘を前へ」
そこに居たのはツインテールの小1くらいの女児が居た。
「こども?」
「こ、こら!滅多なことを言わないで! これでも里長は2000年は超えてるんだから!」
うげ、マジかよ……流石異世界なんでも有りか。
「日本人か」
まただ、俺たちを見たら「日本人」とすぐ言った!
まさかクラスメイトの誰かがこの集落に来たのか?
「里長っ 日本人って言ってたけどそれって俺たちと同じ格好してたか?もしかして女だったか?」
「ぬ?」
「ひょっとして榎本の事かな」
「……可能性はあるかも」
里長は少し黙った後首を横に振った。
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違ったか……。
「てことは俺らとは違う日本人がこの世界に来たってことかな」
「里長一応名前だけ聞かせてもらってもいいか?」
「聞いてどうするつもりじゃ?」
「……念の為に聞きたいだけだ」
「まあいいが、知り合いの可能性もあるかもしれんしのう、 確かあやつの名はウイカだったな」
ウイカ……雛森初華! 2ヶ月前に転校した雛森がなんでこの世界に!?
「ウイカって女の人 どんな人?」
「なっ!? 貴嶋お前雛森の事忘れたのか!?」
「な、何急に大声出して…霧島の知り合いだったりするの?」
「何言ってんだよ!! 雛森は!」
雛森の事忘れてんじゃねえよ……ッ
クソ、何がどうなってんだこの様子だとみんな雛森のことを忘れてる……
「まあ、無理もないじゃろ何せやつは【忘却】という力でお主らの記憶を消したのじゃろう」
雛森が? ……一体なんの為に記憶を消して俺だけ覚えてるんだ?
そしてそんな中貴嶋が一言。
「あの~…そろそろ左京山の様子の方を見て欲しいんですけど」
「そうじゃったな 」
雛森のことで気を取られて左京山のことを少し忘れてしまっていた。
そして里長が左京山の診察を始めて1分も掛からずに終わった。
「やはり魅了にかかっとるわい 」
「「「魅了!?」」」
「なに、心配するなこの木の実を煎じた物を飲ませれば魅了は解ける」
「ありがとう」
「だが、飲ませても直ぐに戻るとは限らん」
「それは一体どう言う……?」
「魅了というのは厄介なものだ特に単純な心を持つものなど直ぐに取り込まれるものだ、早く飲ませんと……ほれ」
その言葉の後に左京山を見てみると目が虚ろになりゆっくりと立ち上がった。
「早く飲ませろ!」
里長の勢い圧倒され驚きのあまり錠剤くらいの大きさの薬を慌てて左京山に薬を飲ませようと口の中に突っ込もうとしたら左京山はアクロバティックな動きで何故か避けた。
「さ……左京山?」
「……行かなきゃ……」
左京山は窓から飛び降りて走って集落から出ていった。
「追うぞ」
「はい!里長! あなた達も早く!」
ったく!一体何だっていうんだよ!!
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