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7回目 Unexpected and unexpected (予想内と予想外)

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たんぽぽにこのことを打ち明けると少し胸の内がスッキリした。
もしかしたら彼女も撫子問題を一緒に片付けてくれると思った。

「珠華さん! 私…私も珠華さんを守りたいです! 貴女も第2とはいえ同じヒロインなので 彼女に狙われる可能性だって…!」
「大丈夫アイツは第2部をやっていないわ私を見ても「は?誰コイツ」って小声で呟いたくらいだしね」
「でも用心しておいた方が…」
「分かった、分かったからそんなにくっつかないで」

たんぽぽは私と同じ転生者だと分かるとすぐ打ち解け私に甘えてきた。
それにしても懐くの早くない? もしかしてこの子前世でも生粋の甘えん坊…だったとか?
全く、可愛いことしてくれちゃって!

私は抱きついてるたんぽぽの頭を優しく撫でる。

「これって百合?」
「どうでしょう…たんぽぽと珠華の友情エンドもありますから…」
「百合エンドに行かないことを祈るばかりね」
「何言ってるんですか? それはR18バージョンでこの世界は非エロですからそんなことにはなりませんよ。」

私もね、最初の頃は非エロ版のフラワーエデンかと思ったけど撫子がヒロインのエロイベントを代わりにやっちゃってたからここはR18版の世界だということを確信させられたんだよね…。

「残念ながら2回程エロイベントを目撃したからあなたは避けては通れぬ道よ。」
「えー!嫌です! 推し以外にいやらしいことなんてされたくないですよ…」

と、ぷくうと頬をふくらませるその姿はあざと可愛い。
幸せに浸っていると予期せぬ自体が起こった。

「秋明菊 珠華! 何処にいる! 出てこい!」

この声の主は確か…

「珠華さんもしかして…」
「…のお出ましね。」

私は応接室のブラインドから覗き込むとやはり奴が校庭のど真ん中で喚き散らしていた。

「秋明菊珠華ァァァァ!!」

うるせぇなあいつ… 【獣の遠吠え】使ってんなよな。
それにアイツ容姿といいあのスキルのおかげで周囲にかなり目立っているから…ほら先生たち来ちゃったよ
そして教師陣たちも相手が誰か分かるとたじろぎ何かを話しているがそれでも奴は私を呼び出している。

「あの人確かティーレ王国の王子で ティーレ学園の生徒会長 リオン・ティーレ・レオンハート…ですよね?」
「そうね、この時期に奴がまた来たわ…」
「「また」というと…前回も…?」
「私がティーレ学園に行かなかったからアイツが私を連れていこうとわざわざ出向いて来ても結局は……」

私は視線を真下に向ける

「うちの生徒会が出動するから」

その言葉と同時にリオンの前に我が生徒会長亮玖が立ちはだかる

前回もこれみたな…。

「前回はどちらにいたのですか?」
「一回目は会長と同行して説得、2回目は仮病」
「仮病…」

視線が痛い…仕方ないじゃん2回目で終わるかもって思ってたから。

「3回目はここ応接室で奴が引くのを待つ……だけ…。」

リオンは確かライオンの獣人…鼻が利く、まずいここにいたらバレる!
そう思いたんぽぽを連れ応接室から出ようとした瞬間

「ダメですよあの方が来るまでここでお待ちください。」
「なっ!」

目の前に現れたのは第2部で登場するリオンの側近の狼族の獣人で……確か名前は…。

「ゼロスと申します以後お見知り置きを」
「格好からしてティーレ学園の生徒でしょ、目的は何?」

ゼロスはチラリとたんぽぽに視線を向ける。

「すみませんが部外者は席を外してくれませんか? 私はこの方に御用なので。」
「ダメです…私は副会長を……っ!」
「話が通じませんね仕方ない。」

ゼロスは懐から小袋のようなものを取りだしそれを私やたんぽぽ目掛けてかけ、同時にたんぽぽは倒れた。

「椎名さん!  貴方…一体何を………っ!」

まだ粉が充満しているのだろうたんぽぽに駆け寄ったら急激な眠気に襲われた。
なるほど睡眠薬か…。

「ご安心を、体に害のあるものではございませんので、それに前回と同じように我々の前に現れ・・・・・・・・・・・・・・さえすればお連れの方も巻き込まずに済みましたのに」

何?どういう事? 前回と同じように・・・・・・・・? リセットは周りにいる人間には影響されないはずじゃ…?

「貴女……何者…?」
貴女と同じ・・・・・ですよ」

意識が遠のく前にゼロスは私を抱き抱え耳元で囁いた

同じ?どういうこと? コイツもリセットが使えるの?それか同じ転生…者?

そこで私の意識は途絶えた。


「……全く、一回目は目の前に現れ、2回目は仮病で3回目は応接室で籠城ですか

それに、ヒロインならヒロインらしくティーレ学園に来て我々に身を捧げてください 珠華皇女」

ゼロスは眠っている珠華の唇を奪った。

「これがファーストなら嬉しいものですねぇ、ファーストキスですよね? 僕はそう信じてますよ…………ですがただリオン閣下の元に連れていく前に……」

ゼロスは応接室奥の部屋に眠っている珠華をそのまま連れていき鍵をかけネクタイを解く。


「毒味をしなければなりませんね」

と、下唇を舌で舐め恍惚に珠華を見つめた。
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