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「皆さま、お集り頂きありがとうございます!本日は楽しい夜を過ごしてください」
ヘイラー子爵が辺りを見渡してグラスを掲げると、その場は一気に最高潮に盛り上がりを見せた。
そうして始まったパーティーをエルシャールは柱の影から見守っていた。
(動くなと言われた手前ここ居いたら良いのよね……?)
参加者が相手をみつけてダンスを踊ろうとしている中、エルシャールは息をひそめていた。
真意がわからないにせよ、ソレイユに何も口にするなと言われている手前グラスを取るのも憚られてソレイユの帰りを待って座っている時、エルシャールは突然頭から液体をかけられた。
「誰かと思えば、お姉様じゃない」
「……サンドラ」
取り巻きの女の子を数人連れて白ワイン濡れのエルシャールを嘲笑う妹がそこに居た。
「……あら?呼び捨てを許可した覚えはなくってよ」
「この方が、サンドラ様のお姉様なんて信じられませんわ」
「濡れるとより一層無様でよくお似合いですわね」
サンドラが一言いえば、取り巻き達は口々にエルシャールを貶める発言をエルシャールだけに聞こえるような大きさで囁き笑い合った。
陰湿で、手慣れた様子にエルシャールはサンドラ達を静かに見つめた。
「何よ、生意気な顔をして!ソレイユ様の婚約者になったからって……」
苦々しくはき捨てて、サンドラは言葉の途中で何かに気が付いた顔をした。
その顔が嫌な風に歪みエルシャールの背中を悪寒が走る。
早くその場から離れないと。
エルシャールがそう思って立ち上がると動き出す前にサンドラは左手に持っていたワイングラスをわざと自分のドレスにこぼして大声で叫んだ。
先程とは違う赤ワインが飛んで、近くにいたエルシャールのイザベラから借りたドレスに色を付けた。
エルシャールは茫然とするしかなかった。
(イザベラ様のドレスが……)
「ごめんなさい、お姉様!!」
「まあ、サンドラ様大丈夫ですか?!」
グラスと共にその場に倒れ込んだサンドラは、立ったまま茫然とするエルシャールを潤んだ瞳で見つめる。
彼女が中心の劇が始まった。と気が付いたのはダンスを始めようとしていた人達が皆、エルシャール達を見て訝しんでいたからだ。
立ったまま何もいわないエルシャールを置いて劇は進行する。
「私が、躓いて白ワインをお姉さまにかけてしまった事は謝ります!ですが、私に赤ワインをかけるほどの事だったでしょうか?!」
「エルシャール様、どうかサンドラ様を許して差し上げてください!!」
エルシャールは圧倒的に不利だった。
涙を零してサンドラが謝罪をしている時点で負けたも同然だった。
周りの目は泣きじゃくるサンドラに同情心を抱き、何もいわずに突っ立っているエルシャールを非難する声まで聞こえはじめていた。
ヘイラー子爵が辺りを見渡してグラスを掲げると、その場は一気に最高潮に盛り上がりを見せた。
そうして始まったパーティーをエルシャールは柱の影から見守っていた。
(動くなと言われた手前ここ居いたら良いのよね……?)
参加者が相手をみつけてダンスを踊ろうとしている中、エルシャールは息をひそめていた。
真意がわからないにせよ、ソレイユに何も口にするなと言われている手前グラスを取るのも憚られてソレイユの帰りを待って座っている時、エルシャールは突然頭から液体をかけられた。
「誰かと思えば、お姉様じゃない」
「……サンドラ」
取り巻きの女の子を数人連れて白ワイン濡れのエルシャールを嘲笑う妹がそこに居た。
「……あら?呼び捨てを許可した覚えはなくってよ」
「この方が、サンドラ様のお姉様なんて信じられませんわ」
「濡れるとより一層無様でよくお似合いですわね」
サンドラが一言いえば、取り巻き達は口々にエルシャールを貶める発言をエルシャールだけに聞こえるような大きさで囁き笑い合った。
陰湿で、手慣れた様子にエルシャールはサンドラ達を静かに見つめた。
「何よ、生意気な顔をして!ソレイユ様の婚約者になったからって……」
苦々しくはき捨てて、サンドラは言葉の途中で何かに気が付いた顔をした。
その顔が嫌な風に歪みエルシャールの背中を悪寒が走る。
早くその場から離れないと。
エルシャールがそう思って立ち上がると動き出す前にサンドラは左手に持っていたワイングラスをわざと自分のドレスにこぼして大声で叫んだ。
先程とは違う赤ワインが飛んで、近くにいたエルシャールのイザベラから借りたドレスに色を付けた。
エルシャールは茫然とするしかなかった。
(イザベラ様のドレスが……)
「ごめんなさい、お姉様!!」
「まあ、サンドラ様大丈夫ですか?!」
グラスと共にその場に倒れ込んだサンドラは、立ったまま茫然とするエルシャールを潤んだ瞳で見つめる。
彼女が中心の劇が始まった。と気が付いたのはダンスを始めようとしていた人達が皆、エルシャール達を見て訝しんでいたからだ。
立ったまま何もいわないエルシャールを置いて劇は進行する。
「私が、躓いて白ワインをお姉さまにかけてしまった事は謝ります!ですが、私に赤ワインをかけるほどの事だったでしょうか?!」
「エルシャール様、どうかサンドラ様を許して差し上げてください!!」
エルシャールは圧倒的に不利だった。
涙を零してサンドラが謝罪をしている時点で負けたも同然だった。
周りの目は泣きじゃくるサンドラに同情心を抱き、何もいわずに突っ立っているエルシャールを非難する声まで聞こえはじめていた。
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