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「エルシャール嬢からサンドラ嬢に乗り換えるのは……無理か」
ソレイユはジェニエルから気まずそうに目線を逸らした。
あれからジェニエルと意見を取り交わして、エルシャールから何も情報が引きだせないと言う結論に至った。
「申し訳ございません、ジェニエル様」
ラビリンス家からエルシャールを引き取る際にやらかした事は既にジェニエルの耳に入っていたらしい。
あの場に居たのは自分とエルシャール、それからラビリンス家だけだと思っていたが、いつの間にかジェニエルの息がかかった者が聞き耳を立てていたのだろう。
ラビリンス家を油断させるつもりが、逆に警戒されているかもしれない事になってしまったという事実を残して振り出しに戻ってしまった事でジェニエルは仕方がないと肩をすくめて理解を示した。
「ソレイユ……」
報告が一通り済み、これからの行動を考えるのだろうとソレイユはジェニエルに呼ばれるがまま近寄ったその時。
一瞬、嫌な笑顔を浮かべたジェニエルにソレイユは咄嗟に身体を逸らしてジェニエルの腕から逃れた。
「突然何をされるおつもりですか陛下」
「ちぇ、逃げられたか」
髪の一筋も乱さずにソレイユが問いかけると、ジェニエルはわかりやすく残念そうに肩をすくめた。
「お前を揶揄ってやろうと思ってな!」
「突然、首を狙うのはやめて下さい」
「涼しい顔で避けたくせによくいう。それより……初めてじゃないか?任務命のお前が自分の感情で行動を起こしたのは」
「……仮にも婚約者になる相手を侮辱されて黙っていられなかっただけです」
「ふうん?だったらお前が言った……」
「ソレイユ!」
ジェニエルがソレイユに言葉を重ねようと口を開こうとした時だった。
ジェニエルの部屋の扉が無造作に開かれて、一人の女性が部屋に飛び込んできた。
「ごめんなさい……ソレイユが久しぶりにここに居るってさっき伺ったものだから……」
「セージュ……?」
そう言って乱れた息を整えて微笑むセージュは、剣の柄を取って侵入者に警戒を示すソレイユとジェニエルが近い距離で話し合っていた様子を感じ取るとすぐに眉を顰めて申し訳なさそうに告げた。
「大切なお話をしている時にごめんなさい」
「いや、話しは終わったところだ問題ない」
ジェニエルはセージュが退出しようとする様子を感じ取ってすぐにフォローをすると、セージュはわかりやすくほっとした様子を見せて二人に近づいた。
ソレイユはジェニエルから気まずそうに目線を逸らした。
あれからジェニエルと意見を取り交わして、エルシャールから何も情報が引きだせないと言う結論に至った。
「申し訳ございません、ジェニエル様」
ラビリンス家からエルシャールを引き取る際にやらかした事は既にジェニエルの耳に入っていたらしい。
あの場に居たのは自分とエルシャール、それからラビリンス家だけだと思っていたが、いつの間にかジェニエルの息がかかった者が聞き耳を立てていたのだろう。
ラビリンス家を油断させるつもりが、逆に警戒されているかもしれない事になってしまったという事実を残して振り出しに戻ってしまった事でジェニエルは仕方がないと肩をすくめて理解を示した。
「ソレイユ……」
報告が一通り済み、これからの行動を考えるのだろうとソレイユはジェニエルに呼ばれるがまま近寄ったその時。
一瞬、嫌な笑顔を浮かべたジェニエルにソレイユは咄嗟に身体を逸らしてジェニエルの腕から逃れた。
「突然何をされるおつもりですか陛下」
「ちぇ、逃げられたか」
髪の一筋も乱さずにソレイユが問いかけると、ジェニエルはわかりやすく残念そうに肩をすくめた。
「お前を揶揄ってやろうと思ってな!」
「突然、首を狙うのはやめて下さい」
「涼しい顔で避けたくせによくいう。それより……初めてじゃないか?任務命のお前が自分の感情で行動を起こしたのは」
「……仮にも婚約者になる相手を侮辱されて黙っていられなかっただけです」
「ふうん?だったらお前が言った……」
「ソレイユ!」
ジェニエルがソレイユに言葉を重ねようと口を開こうとした時だった。
ジェニエルの部屋の扉が無造作に開かれて、一人の女性が部屋に飛び込んできた。
「ごめんなさい……ソレイユが久しぶりにここに居るってさっき伺ったものだから……」
「セージュ……?」
そう言って乱れた息を整えて微笑むセージュは、剣の柄を取って侵入者に警戒を示すソレイユとジェニエルが近い距離で話し合っていた様子を感じ取るとすぐに眉を顰めて申し訳なさそうに告げた。
「大切なお話をしている時にごめんなさい」
「いや、話しは終わったところだ問題ない」
ジェニエルはセージュが退出しようとする様子を感じ取ってすぐにフォローをすると、セージュはわかりやすくほっとした様子を見せて二人に近づいた。
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