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毎日をシュラウドはロボットのように過ごしていました。
決まった時間に起床して食事をとり、公務以外は外を歩く事も、書物を読むこともなくただ窓の外を見て時間を過ごし、夜になれば眠る。

そんな決まったことだけをして過ごすシュラウドを彼は見ていました。

「あのガキったら壊れてしまったわ」
「アンタがやりすぎたのが悪いのよ」

シュラウドが壊れてしまうと、メイドの2人はシュラウドの様子を見るたびにくすくすと笑っていました。
もう汚名以外流すものがなくなったシュラウドに毒を仕込む必要がないにも関わらず、彼女達はシュラウドが機械的に食べものを口に含んでは、嘔吐をする様子を馬鹿にします。
彼女達の楽しみは、シュラウドを馬鹿にして笑い合う事でした。

人の恐ろしさを身をもって感じながら、彼はシュラウドの毎日を見ていました。

「たまには外に行きませんか?」
「……」

表情もなく、言葉もなく過ごすシュラウドにある時、彼は勇気を振り絞ってシュラウドを外に誘ってみました。
メイド達がシュラウドに毒を盛る事にも飽きて、屋敷に寄りつくこともなくなってきた時の事でした。

彼は悲痛な面持ちでシュラウドを見つめますが、シュラウドの目はどこか遠く、ただ青いガラス玉がふたつはまっただけの無機質な目とついぞ視線が合う事がありませんでした。


シュラウドは彼がみている間に精巧な人形となっていたのです。

いつしか言葉を交わす事もなくなり、公務も取り上げられたシュラウドはただ機械的に生きているだけでした。
メイド達が働かなくなり、シュラウドの身の回りを別の者が担当するのに時間は掛かりませんでした。

彼らは、この国の奴隷でした。
淡々とシュラウドの身の回りの世話をして、一度もシュラウドと言葉を交わす事もありません。
毒を盛る事も、嫌がらせもせずに彼らはシュラウドが死なない手助けをして用が済むとすぐにいなくなります。

彼はそんな風に世話を焼かれるシュラウドの事も書き記していました。

シュラウドが生れ落ちたその瞬間から、シュラウドの心臓が止まるその時まで。
彼が筆を止める事はありません。
例え、それが次期賢王と名高いシュラウドであってもそうでなくても、彼の仕事はただシュラウドがどう生きたかを後世に残す事が仕事でした。

その日もシュラウドは外を見ていました。
そんなシュラウドを彼は見つめていました。
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