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ケビンの再訪
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「~~~~!」
この顔はおそらくクッキーのアイシング部分を堪能している顔だろう。
これ程までケビンが甘い物好きとは思わず、レンは面食らう。
「本当に美味い! 絵も可愛い! これが試作なのかい!?」
「は、はい。子供たち全員に配る用のクッキーの試作で。美味しいなら、良かったです」
「これをケーキにしてもいいくらいだ!」
ケビンの心からの笑顔にレンは頬を緩ませる。
ケビンが甘いもの好きというのはわかっていたが、ここまでとは。
レンの父を思い出す。
父親はよく「甘いもの好きに悪いやつはいない」とレンにも、子供たちにも伝えてきた。
その結果があの恰幅のいい体ではあるがレンもその考えはあながち間違っていないのではと思っている。甘いものは心を豊かにしてくれる。豊かな心は広い視野をもち、それが他人への優しさに繋がる。そう思っている。
だがーー、ガランは甘いものが嫌いだ。
料理も甘味を感じたら顔を顰める程だし、コーヒーにはブラックが基本。
大人なら嗜好の範疇だが、15とわかった今、甘いものを嫌煙するにはまだ早い。
それに、ガランはレンのことを気遣ってくれるが、時々無理をしているような気もしていた。言いたいことがあるのでは、と感じるほどに。
その考えが顔につい出てしまったのだろう。ケビンが、ふとした顔でこちらをみる。
「……ガラン君のことを、考えているのか?」
「――ッ! い、いいえ!! そんなことは――!」
慌てて否定するが、ケビンにはそれが嘘だと分かっただらう。
ケビンがあまりにも素直で気が緩んでいたがそもそもこいつの狙いはガランであることを忘れてはならない。
慌てて否定するレンにケビンは慌てながら訂正をする。
「す、すまない。君は確か、あの子のことを言わないと言っていたのに――、君の顔を見てつい、あの子のことを考えているのではと思ってしまった」
「……」
「服を完成して君の喜ぶ顔を見たら、つい気が緩んでしまった。本当にすまない」
ケビンは頭を深く下げた。
その姿にレンは気まずそうに目をそらす。
「た、大したことじゃありません。ガラーー、いえ、彼は甘いものが苦手で、それで、貴方と大違いだと思っただけで」
「じゃあ、あの子はいつもコーヒーだけを?」
「ブラックの深煎りを」
「……それ以外何も?」
「ええ」
その言葉を聞いてケビンは分かりやすく驚いた顔をした。
ブラックの深煎りはコーヒーを飲みなれているレンでも茶請けに甘いものが欲しくなる苦さだ。
甘党のケビンにはそれがどれだけのものかは目の前の驚愕の顔で伝わる。
一応、ガランをフォローするように言葉を付け足した。
「人には好みがありますから。それに、彼はよく眠りますし、カフェインのせいで睡眠が取れていないというわけではありません」
「それにしても……、信じられない」
「少し前、彼にイタズラでいつものコーヒーにミルクと蜂蜜を入れたらひどく怒られてしまいまして。それほど甘いものが嫌いなのでしょう」
本当にガランとケビンは正反対だ。
甘いものが苦手なガランと甘いものが好きなケビン。
性格もレンすら心を開かないガランと初対面のレンの前ですら心を開いているケビン。
ケビンはガランと関わりを持ちたがっていそうだが、持っても衝突する未来が見える。
そう思い苦笑するレンに、ケビンは口を開く。
この顔はおそらくクッキーのアイシング部分を堪能している顔だろう。
これ程までケビンが甘い物好きとは思わず、レンは面食らう。
「本当に美味い! 絵も可愛い! これが試作なのかい!?」
「は、はい。子供たち全員に配る用のクッキーの試作で。美味しいなら、良かったです」
「これをケーキにしてもいいくらいだ!」
ケビンの心からの笑顔にレンは頬を緩ませる。
ケビンが甘いもの好きというのはわかっていたが、ここまでとは。
レンの父を思い出す。
父親はよく「甘いもの好きに悪いやつはいない」とレンにも、子供たちにも伝えてきた。
その結果があの恰幅のいい体ではあるがレンもその考えはあながち間違っていないのではと思っている。甘いものは心を豊かにしてくれる。豊かな心は広い視野をもち、それが他人への優しさに繋がる。そう思っている。
だがーー、ガランは甘いものが嫌いだ。
料理も甘味を感じたら顔を顰める程だし、コーヒーにはブラックが基本。
大人なら嗜好の範疇だが、15とわかった今、甘いものを嫌煙するにはまだ早い。
それに、ガランはレンのことを気遣ってくれるが、時々無理をしているような気もしていた。言いたいことがあるのでは、と感じるほどに。
その考えが顔につい出てしまったのだろう。ケビンが、ふとした顔でこちらをみる。
「……ガラン君のことを、考えているのか?」
「――ッ! い、いいえ!! そんなことは――!」
慌てて否定するが、ケビンにはそれが嘘だと分かっただらう。
ケビンがあまりにも素直で気が緩んでいたがそもそもこいつの狙いはガランであることを忘れてはならない。
慌てて否定するレンにケビンは慌てながら訂正をする。
「す、すまない。君は確か、あの子のことを言わないと言っていたのに――、君の顔を見てつい、あの子のことを考えているのではと思ってしまった」
「……」
「服を完成して君の喜ぶ顔を見たら、つい気が緩んでしまった。本当にすまない」
ケビンは頭を深く下げた。
その姿にレンは気まずそうに目をそらす。
「た、大したことじゃありません。ガラーー、いえ、彼は甘いものが苦手で、それで、貴方と大違いだと思っただけで」
「じゃあ、あの子はいつもコーヒーだけを?」
「ブラックの深煎りを」
「……それ以外何も?」
「ええ」
その言葉を聞いてケビンは分かりやすく驚いた顔をした。
ブラックの深煎りはコーヒーを飲みなれているレンでも茶請けに甘いものが欲しくなる苦さだ。
甘党のケビンにはそれがどれだけのものかは目の前の驚愕の顔で伝わる。
一応、ガランをフォローするように言葉を付け足した。
「人には好みがありますから。それに、彼はよく眠りますし、カフェインのせいで睡眠が取れていないというわけではありません」
「それにしても……、信じられない」
「少し前、彼にイタズラでいつものコーヒーにミルクと蜂蜜を入れたらひどく怒られてしまいまして。それほど甘いものが嫌いなのでしょう」
本当にガランとケビンは正反対だ。
甘いものが苦手なガランと甘いものが好きなケビン。
性格もレンすら心を開かないガランと初対面のレンの前ですら心を開いているケビン。
ケビンはガランと関わりを持ちたがっていそうだが、持っても衝突する未来が見える。
そう思い苦笑するレンに、ケビンは口を開く。
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