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深夜四時
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時刻は深夜4時を指していた。
この時間、施設の子供たちはおろか、両親も寝ている時間 だろう。
レンのすぐ後ろにいるガランもレンの背中を抱きしめながら規則正しい寝息を聞かせている。そのガランの太い腕からレンはこっそりと抜け出した。
なるべく足音を 聞かせないように寝室からリビングに向い、音がしないよう扉を閉め、レンは息を吐く。
「……ふう」
小さく吐いたはずなのにそれがやけに大きく聞こえた。
心臓の音も、レン以外聞こえていないはずなのにこの広いリビング内に響いている感じがする。
それを気のせいだと自分に言い聞かせ、レンはリビング内を物色した。
目的は1つ。
ガランの身分証だ。
「……」
正直――、レンはずっとガランには違和感を持っていた。
そもそも、こんな高級ホテルに泊まれる財力を持っているのに、平凡な一般市民のレンと恋仲になる所からおかしい。
物語のストーリーならよくある話だろう。だが、ここは現実だ。
最初惹かれ合うことはあっても今まで暮らしてきた互いの経験が邪魔をし、破綻するのが大抵の結末だ。
しかし、レンとガランはもう半年。
レンを騙すための詐欺も思い浮かんだが、ガランにはレンを騙すメリットがない。
レンの持ち物なんて父から譲り受けた店くらいだし、仮に児童養護施設を運営し、たまにテレビや雑誌に載るレンの両親がターゲットでも半年間も高級ホテルや高級車をわざわざ使わないだろう。
なぜガランはレンにここまでもてなし、愛を囁くのか。
それなのになぜ年齢すら隠すのか。それ以外にも、ガランはレンに言っていない事が多すぎるのだ。
それに、時折感じるガランの違和感ーー、その正体が、何なのかは分からないが、ずっと小骨が喉につっかかったような気分からはもうそろそろ開放されたい。
だから、レンは申し訳ないと思いつつも、ガランが完全に寝静まった隙に物色することにした。
寝室にはそういったものが見つからなかった。
だからリビングやウォークインクローゼットにあると思い、引き出しを開けたりしたが、それらしきものは見当たらない。
ならどこに。無ければ無いでそれはそれで問題だ。
やはり、寝室か。調べが足りなかったのだろうか。
ガランが寝ているので気乗りはしないが、見るだけ見てみよう。
そう思い、レンは寝室につながる扉の前まで来て、ドアノブに手をかけたまま少しの間動きを止めた。
「……あれ?」
なんとなくリビングの方に目をやると、近くでは分からない違和感にレンのドアノブを握る手の力が抜ける。
リビングには、棚とテーブルやソファなど、この部屋だけで数人が過ごせる広さと設備がある。
そのうちの棚に、レンは違和感を覚えた。
「……」
棚は3つ。
レイアウト用で実際に収納するには不便なもので、だから何も入れてない、と以前ガランは言っていた。だからレンもそういうものかと思い、そのうちの一つが他よりも傾いているのはアンティークゆえだと思っていた。
だが、どうにも気にかかる。
「……」
レンはその棚に行き、傾きに手をそわす。
すると、その棚と壁の間に僅かな空間があることに気づいた。
レンはそっと手を伸ばす。なにやらボタンのような物が手に触れた。
大きなでっぱりが指に引っ掛かり、動く仕組みになっている。
「これは……」
レンは指先でそのボタンを押す。
すると、カチリという小さな機械音と共に棚の1番上が勢いよく開いた。
「……!」
この時間、施設の子供たちはおろか、両親も寝ている時間 だろう。
レンのすぐ後ろにいるガランもレンの背中を抱きしめながら規則正しい寝息を聞かせている。そのガランの太い腕からレンはこっそりと抜け出した。
なるべく足音を 聞かせないように寝室からリビングに向い、音がしないよう扉を閉め、レンは息を吐く。
「……ふう」
小さく吐いたはずなのにそれがやけに大きく聞こえた。
心臓の音も、レン以外聞こえていないはずなのにこの広いリビング内に響いている感じがする。
それを気のせいだと自分に言い聞かせ、レンはリビング内を物色した。
目的は1つ。
ガランの身分証だ。
「……」
正直――、レンはずっとガランには違和感を持っていた。
そもそも、こんな高級ホテルに泊まれる財力を持っているのに、平凡な一般市民のレンと恋仲になる所からおかしい。
物語のストーリーならよくある話だろう。だが、ここは現実だ。
最初惹かれ合うことはあっても今まで暮らしてきた互いの経験が邪魔をし、破綻するのが大抵の結末だ。
しかし、レンとガランはもう半年。
レンを騙すための詐欺も思い浮かんだが、ガランにはレンを騙すメリットがない。
レンの持ち物なんて父から譲り受けた店くらいだし、仮に児童養護施設を運営し、たまにテレビや雑誌に載るレンの両親がターゲットでも半年間も高級ホテルや高級車をわざわざ使わないだろう。
なぜガランはレンにここまでもてなし、愛を囁くのか。
それなのになぜ年齢すら隠すのか。それ以外にも、ガランはレンに言っていない事が多すぎるのだ。
それに、時折感じるガランの違和感ーー、その正体が、何なのかは分からないが、ずっと小骨が喉につっかかったような気分からはもうそろそろ開放されたい。
だから、レンは申し訳ないと思いつつも、ガランが完全に寝静まった隙に物色することにした。
寝室にはそういったものが見つからなかった。
だからリビングやウォークインクローゼットにあると思い、引き出しを開けたりしたが、それらしきものは見当たらない。
ならどこに。無ければ無いでそれはそれで問題だ。
やはり、寝室か。調べが足りなかったのだろうか。
ガランが寝ているので気乗りはしないが、見るだけ見てみよう。
そう思い、レンは寝室につながる扉の前まで来て、ドアノブに手をかけたまま少しの間動きを止めた。
「……あれ?」
なんとなくリビングの方に目をやると、近くでは分からない違和感にレンのドアノブを握る手の力が抜ける。
リビングには、棚とテーブルやソファなど、この部屋だけで数人が過ごせる広さと設備がある。
そのうちの棚に、レンは違和感を覚えた。
「……」
棚は3つ。
レイアウト用で実際に収納するには不便なもので、だから何も入れてない、と以前ガランは言っていた。だからレンもそういうものかと思い、そのうちの一つが他よりも傾いているのはアンティークゆえだと思っていた。
だが、どうにも気にかかる。
「……」
レンはその棚に行き、傾きに手をそわす。
すると、その棚と壁の間に僅かな空間があることに気づいた。
レンはそっと手を伸ばす。なにやらボタンのような物が手に触れた。
大きなでっぱりが指に引っ掛かり、動く仕組みになっている。
「これは……」
レンは指先でそのボタンを押す。
すると、カチリという小さな機械音と共に棚の1番上が勢いよく開いた。
「……!」
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